交通事故発生報告書の記載も、安全運転指導の一つとして記載させましょう。


   

 交通事故発生報告書は、安全運転指導の一つであるという考え方を持ってください。

 交通事故には次の二点のポイントがあり、それを意識また理解させることが必要です。

相手方が車や人の場合

  どちらかのドライバーや人が回避行動をとれば、防げる交通事故も多い。その行動をとったか否か。

駐車車両や工作物への衝突

 ≫ 意思がないので回避してくれない。

 ≫ 回避できるのは、ドライバーのみ。

 ≫ 原因は全てドライバーにある。

 

ということです。


 この二点を基本に指導+教養という考え方で記入させてください。

 

 また、下記のハンドル操作と衝突部位から原因を探る「ハンドル操作別 分析ツール」も一つの

方法で、各事故形態からもハンドル操作と衝突部位が分かります。

「ハンドル操作別 事故分析ツール」Excel版を2021.12公開しましたので参考にしてください。(車種別イラストを入れ替えることで、トラック(基本はトラック画像)、乗用車にも対応しています。)

ハンドル操作と衝突部位から指導点を探る。



▌指導時の意識付けツール

  交通事故受理時は、機会教養の場と考え指導・教養してください。

 下のボタンは、「車は急に止まらない。」ことを意識づけるツールです。ご利用ください。

 

 「反応時間測定&停止距離計算」ツールは、 PC、スマホで反応時間測定と停止距離計算が一画面でできます。バック事故、追突事故、交差点事故…等の交通事故受理時や座学・実技講習時に活用してください。

█  特徴

▼ 反応時間測定と停止距離計算が一画面でできる。

● 反応時間測定を10回にして測定時間を短縮

● 反応時間結果に基づいて、

       ➤ 低速時 5Km/h ➤ 中速時 40Km/h

 の両方の空走・制動・停止距離が表示される。

    ➤摩擦係数、速度の変更ができる。【再計算】可能

● 反応時間を変更して再計算も可能 ● 再測定も可能


 例示解説・・・相手が車や人の場合



例 左車線への進路変更時の交通事故

 

▼ 原文

  「片側2車線の道路右側を走行中に左側車線に車線変更していたところ左後方から直進してきた原付バイクに接触した。」


変更内容

 「片側2車線の道路の右側を時速○○Kmで走行中、前方○○○m先の交差点を左折するため事前に左に車線変更しようと、左前方の車を追い抜いた後合図を出さないで、また安全確認をせずに左側車線に進路変更したところ、左後方から直進してきた原付バイク前輪部分と当車左後部と接触し単車が転倒したものです。事故を起こすまで原付バイクは見ていません。」

 

進路変更時の交通事故発生報告書では、

≫速度等運転状況 ≫車線変更する理由 ≫左後方の安全確認 ≫合図(法律では3秒)

≫車線変更直前での左後方・左側の安全確認(サイドミラー、目視での安全確認)

状況を記載させることが必要です。

●衝突現場の見取り図だけではなく、上図のような報告書に沿った時系列の状況図を書かせるとよく分かります。 

 また、管理者・指導者の立場から考えると、発生報告書の内容を読めば、事故の情景や、ドライバーの見落としポイントがわかる報告書になっている方がいいでしょう。

 その為には、衝突部位(自車及び相手)も発生報告書の中で記載させておくとよいでしょう。


交通事故発生原因の把握

○左前方の車の後ろに進路を変えることは考えなかったのか?後ろに入っておれば死角の原付を発見また事故に至っていない。

○合図を3秒以上出しておれば、死角に入っている左後方の原付バイクが「この車は進路を変更するんだ。」と認識して速度を落としたかもしれない。➤「合図は車同士のコミュニケーション」であることを意識させる必要があります。

○進路変更する直前、サイドミラーと目視による安全確認をしておれば、死角にある原付バイクを発見できていた。

○直前の速度~ 進路変更するため、加速して左側車両を追い抜き進路変更する癖の人か否か?

 → 進路変更後、前車に追突する原因 (運転記録証明書の違反内容等の確認も必要)

等を記載させてください。そのポイントが、事故の発生原因であり指導ポイントとなります。

下記に他の事例を記載しておりますので参考としてください。

▶指導内容➤「合図は車同士のコミュニケーション」➤車線変更時の事故防止指導方法① (「車線(進路)変更時の交通事故(27例) 内容から見た指導方法) 


事 例

◆前方不注視(わき見による追突)

 片側1車線の道路を渋滞のため時速約○○km、車間距離約○○mで前車に追従中、伝票を取り出そうと、助手席に置いてある鞄に目を向けて左手で取り出し、前方を見たところ停車している前車を発見急ブレーキをかけたが間に合わず前車の後部に追突

★速度、車間距離、わき見、相手を認めた位置、回避(ブレーキ・ハンドル)の有無

▶指導内容➤「車は急に止まらない」反応時間と停止距離➤原点回帰講習用「反応時間測定&停止距離計算」ツールヒヤリハット分析から見た指導方法2( 「前車の急制動・停車」(貨物車の追突防止実技指導))

 

◆前方不注視(発見遅れの追突)

 国道○○号線を帰社のため、時速約○○Km、車間距離約○○mで前車に追従して走行中、交通閑散であったことから前方を十分に見ず(遠方を望見しながら)に進行していたところ、前方車両が右折のため速度を落とし停止したのを約○○mで発見、ブレーキをかけ左にハンドルを切ったが間に合わず前車の後部左側に追突(追突、衝突)

★速度、車間距離、わき見、相手を認めた位置、回避(ブレーキ・ハンドル)の有無

▶指導内容➤「車は急に止まらない」反応時間と停止距離➤原点回帰講習用「反応時間測定&停止距離計算」ツール追突しないための体験型指導方法

◆安全不確認(歩行者発見後の漫然通行)

 帰社するため、幅員約○mの住宅内道路を走行中、同方向に歩行中の被害者を左前方約○○mの地点に認めたが側方を通過できると思い、その動静を注視(減速徐行・警音器を吹鳴して警告)しないで、時速約○○kmで進行したところ左サイドミラーが歩行者に衝突(接触)し歩行者が転倒

★道路形態に対応した速度認識の有無と速度、歩行者の左右側方○mだったら側方通過できると考えたのか、相手を認めた位置、回避(ブレーキ・ハンドル)の有無、減速また構えの有無

▶指導内容➤原点回帰講習自車運転車両の認識度(車長、車幅等)➤車両の左側端感覚

◆赤信号無視・不確認                       

 お客様会社に向かう途中、国道○○号線を○○交差点で、対面の信号が赤色を示しているのを交差点の手前約○○mの地点で認めたが(確認しないで)、急いでいたので時速約○○kmで進入したところ、青色信号で左から右に進行してきた自動車の右前と当車左前とが回避措置もできずに出会い頭に衝突(接触)

 ★信号確認の有無、交差点内や付近の安全確認の有無、、加速・低速・減速の有無、相手を認めた位置、回避(ブレーキ・ハンドル)の有無

▶指導内容➤ヒヤリハット分析から見た指導方法6  (信号交差点に対する指導方法 その1(総論、信号発進、直進))

 

◆黄色信号無視・不確認

    お客様の会社に向かう途中、国道○○号線を○○交差点で、対面の信号が黄色を示しているのを交差点の手前約○○mの地点で認めたが(確認しないで)、通過できると思い時速約○○kmで進入したところ、赤色信号を無視して左から右に横断してきた自転車と回避できず当車左前と衝突(接触)

 ★信号確認の有無、速度の加速・減速の状況、交差点・同付近の安全確認の有無、相手を認めた位置、回避(ブレーキ・ハンドル)の有無

▶指導内容「渡る手前で信号が黄色に。そのとき踏むのは?ブレーキ257人(60.9%)アクセル165人(39.1%)

信号無視を考える(動画)

 

◆一時停止場所(標識無視・不確認)

   帰社途中、上記場所の交差点を通行する際、一時停止標識を認めたが(確認しないで)、一時停止せず時速約○kmで交差点に進入したところ左から進行した自転車を発見したが回避措置もできずに当車左前部と衝突(接触)

 ★一時停止の有無(しない場合はその理由)、停止場所(停止線、直近、交差点進入停止)、安全確認の方法(停止して確認、徐行して確認、左右か片側だけか)、相手を認めた位置、回避方法(ブレーキ・ハンドル回避)

▶指導内容「見る停止の前に見せる停止」➤指定一時停止場所の指導方法(KYT動画活用した指導)

 

◆優先道路・広路優先無視                   

 顧客会社に向かう途中、幅員約○mの道路から幅員約○mの左右の見通しのきかない(困難な)上記場所の交差点(優先道路)を左折しようと、徐行状態で(一時停止したが)右側の安全確認をしないまま時速約○○kmで進入左折したところ右から進行してきた自動車を認めブレーキを掛けたが当車の右ドア付近に衝突(接触)

 ★進入道路の広路か否かの有無、一時停止や減速の有無、左右の安全確認の有無、相手を認めた位置、回避方法(ブレーキ・ハンドル回避)

▶指導内容「見る停止の前に見せる停止」➤信号のない交差点での二段階停止の指導方法

 

◆道路に出る場合の安全不確認

 会社構内から道路に出て左折する際、構内出入り口で一時停止し右から通行してくる数台の車をやり過ごした後、右だけを見て歩道に進入したところ左側から進行してきた自転車が当車の左前輪部分に衝突

 ★道路に出る際の一時停止の有無、歩道を通行する人等への見せる停止の有無、進行時左右の安全確認の有無、相手を認めた位置、回避方法(ブレーキ・ハンドル回避)

▶指導内容➤施設からの出入り事故防止の指導方法 (内輪差、二段階停止、カーブミラーと関連)

 

◆左折時の安全不確認

 会社に戻る途中、前方50m先の上記交差点を左折するためバックミラーで後方の確認したのち左折の合図をしましたが、道路の左側に寄らずそのまま進行し、交差点直近で左後方の安全を確認せず時速約○kmの徐行速度で左折したところ後続単車が当車の左側前ドア部に衝突(接触)

 ★右左折の合図は30m手前、左側端走行の有無、後方・側方確認の場所(交差点手前・・m、直近)相手を認めた位置、回避方法(ブレーキ・ハンドル回避)

▶指導内容➤ヒヤリハット分析から見た指導方法6-2(信号左折時)に対する指導方法

 

◆右折時の安全不確認(右直事故)

 会社に戻る途中、上記交差点を右折するため合図を出して(さないで)3レーンある右側の右折レーンに進入し、交差点の中心の直近付近で停止(徐行、そのままの速度で)した際、対向車両が交差点手前○○mにあった(なかったので)が通過できると思い(安全を確認することなく)、時速約○○kmで右折進行したところ対向直進してきた単車が当車左後部に衝突(接触)

 安全確認時、直進車両はわかっていましたが単車いるとは思ってもいませんでした。

 ★右折の合図、交差点中央付近での停止・徐行の有無、対向直進車確認の有無・距離・判断相手を認めた位置、回避方法(ブレーキ・ハンドル回避)

▶指導内容➤ヒヤリハット分析から見た指導方法6-2(信号右折時)に対する指導方法

 

◆進路変更時の合図、安全不確認

 納品で○○㈱に向かうため、国道○○号線片側二車線の道路の左側車線を時速○○Kmで走行中、前方約○○m先に水たまり(路上作業・路上障害物)があったので、避けるため合図をせず(したが)、また右後方の安全を確認しないまま右側車線に進路を変更したところ、右側車線を直進中の自動車が当車右後部に衝突(接触)

 ★道路環境の把握の有無、速度、前車の有無・車間距離、障害物等を認めた位置、回避方法(ブレーキ・ハンドル回避)、進路変更時の合図は3秒、相手を認めた位置

▶指導内容「合図は車同士のコミュニケーション」➤車線変更時の事故防止指導方法① (「車線(進路)変更時の交通事故(27例) 内容から見た指導方法)  


 例示解説・・・相手が駐車車両や工作物の場合



◆駐車場でのバック事故、安全不確認

▼ 原文

  駐車場内にて花壇に車体後方部を衝突。後部バンパー破損。

≫ 変更内容

  得意先回りが終わり本社駐車場に車をバック駐車する際、駐車スペースの確認をして(しないで)左から一回で(切り返して)入れようとバック、右駐車車両をかわした後一時停止(したが目視せず)することなくそのままバックしたところ後方にあった花壇に車体後方部を衝突させ後部バンパー破損しました。

 バックする前に一時停止しましたので花壇があることは知っていましたが、バック時右車両をかわすのに注意がいき過ぎ、かわした後花壇のことは忘れていました。

 ★衝突部位は必ず記入させてください。衝突部位がわかれば指導方法もわかります。

  また、会社全体として多発部位があればウイークポイントです。その点を重点指導してください。

  参考➤ バック事故の場合バック事故分析&指導ツール参考にしてください。

 ★駐車スペースの確認の有無、停止しての確認の有無、駐車スペースの右から・左がらバック、切り返しの有無、駐車位置手前1mでの停止と安全確認の有無

 注:上記★の内容は法の規定がありませんので社内での安全運転規定に盛り込むことが必要です。

  参考➤ バック駐車行動と原点回帰講習(バック時行動4つのポイント) 

◆駐車場でのバック事故(トラック)、安全不確認

▼ 原文

  得意先敷地内の街灯にバック時衝突、街灯の柱がゆがむ。 

≫ 変更内容

  得意先駐車スペースにバック駐車する際、駐車スペースの確認をしないで(して街灯があるのを認識した)右から一回で(切り返して)入れようと左右のサイドミラーのみでの確認でバックしたところ、後方にあった街灯に当車荷台後部中央部が衝突し街灯の柱がゆがんだもの。

 バック時、停止位置手前で停止し目視後退はしていませんでした。

 ★駐車スペースの確認の有無、停止しての確認の有無、駐車スペースの右から・左がらバック、切り返しの有無、駐車位置手前1mでの停止と安全確認の有無

 注:上記★の内容は法の規定がありませんので社内での安全運転規定に盛り込むことが必要です。

 

◆暗くて見通しの悪い狭道、安全不確認

▼ 原文

  暗く見通しが利かない道路。相手車両に道を空ける際に電柱に気付かず接触してしまいました。 

≫ 変更内容

  お客様宅に訪問する際、暗く見通しが悪い狭い道ををライトを点けて時速約20Km/hで通行中、対向車両が来たので、道を譲るため減速(停止)し、左側の安全を確認をせず(安全確認をし)左に寄ったところ道路に設置してある電柱に左前ドア付近を接触させ破損させました。

 ・対向車が気になって前方左の電柱は見ていませんでした。

 ・確認した場合~ 電柱のあるのは知っていましたが、すれ違い出来ないため停止後左サイドミラーや目視をせず、さらに左にハンドルを切ったため電柱に左前ドア付近を接触

 ★道路幅員の状況(交互通行可能かの認識)、速度、相手を認めた位置と付近の状況、障害物認識の有無、行動時の安全確認状況

▶指導内容➤原点回帰講習自車運転車両の認識度(車長、車幅等)➤車両の左側端感覚


「ハンドル操作別 事故分析ツール」Excel版を2021.12公開しましたので参考にしてください。(車種別イラストを入れ替えることで、トラック(基本はトラック画像)、乗用車にも対応しています。)

ハンドル操作と衝突部位から指導点を探る。



業務車にドライブレコーダーを搭載しているなら、記録動画を使って、講義や小テストまた認定試験を行ってみるのもひとつではなでしょうか?

          詳細は、右の画像をクリック



 

 上記内容についての質疑や他の指導方法等の質問がありましたら「安全運転管理支援チーム」までご連絡ください。