「前向き駐車」と「バック駐車」

 

「前向き駐車」と「バック駐車」の指導方法を考える  

 



先般、NHK北海道放送局ほっとニュース北海道から「前向き駐車の危険性」の取材を受けました。

 

日頃、私どもは「後ろ向き駐車」を指導しています。

前向き駐車は、バックで出るとき非常に苦労しますので、コンビニなど「前向き駐車をお願いします」と掲示されている以外は「後ろ向き駐車」をしています。

 

では、なぜ前向き駐車は危険なのかを考えます。



 関連項目

▼ バック事故と車両感覚 ~ 車両感覚と原点回帰講習 ~

▼ 運転行動(認知・判断・操作)と原点回帰講習

▼ バック事故対策 意識度・認識度調査 ~ 質疑・回答、集計・結果➠Excel仕様ツールあり~ new

≫ バック事故防止講習の必要性Ⅱ( 安全確認の第一歩は停まる。 )

≫ バック事故防止講習

≫ バックカメラ(モニター)付車両(乗用車)の指導方法 

≫ バックカメラ(モニター)付車両(貨物車)の指導方法

バック事故防止の指導方法~ 切り返しと安全確認がバック事故防止の決め手 ~(動画あり)

≫ バック事故防止~ 新入社員への駐車・誘導方法の指導 ~(動画に基づいた指導と説明)

≫ バック事故講習ノート&指導マニュアル

≫ 交通事故対策に悩んだら「原点回帰」の体験型講習を!(交通事故形態に対応する事故原因と指導の考え方)

 原点回帰講習

▋ 管理者・指導者向け 原点回帰講習(乗用車、貨物車) 

≫ 貨物車&バス・マイクロバス向け「原点回帰講習」 

≫ 交通事故発生報告書の記載例 (安全運転指導の一つとして記載させましょう。)

≫ ヒヤリハット分析から見た指導方法8 (バックに対する指導方法)

≫ 「交通事故分析ツール」

▌ その他 指導方法等を知りたい方は「管理者支援ページ」をご覧ください。

業務中のバック事故実態では 「バック事故」実技講習ノート掲載データを深掘り



▌上記データを見て分かりますとおり、駐車スペースからバックで出る、入る場合またバックでの移動、すなわちバック行動での事故は全体の36%を占める多発行動となっています。

▌上記データの、前向き駐車のためスペースへの入りの事故は3件でした。

▼前向き駐車からバックで出る際の事故内容(事故相手・衝突部位)を見てみますと 



▌相手は、車、電柱等の柱が各14件でバック出時の67%を占めています。

▌後部部分が19件、次いで前部右角が8件、後部左角が5件と続き、バック出の76%を占めています。

では、何を基準に考えればいいのでしょうか?

 

 「前向き駐車」「後ろ向き駐車」のリスクや、駐車する際のドライバーのいらだち、ストレス等を判断材料で考えてみますと、

❶ 車路幅どうか?

❷ 車両特性はどう影響するか?

❸ 死角はどうか?

を考える必要があるのではないでしょうか。

 


❶ 車路幅 ~ 駐車のしやすさ 出やすさ

その一 車路幅

▌駐車のしやすさ ▌発進のしやすさ は?

○駐車スペースと車路幅の関係

 一般的な1台当たりのスペースは、

  幅 2.5m  × 長さ 5.0m で、車路幅 5.0m

が標準値(最低値)とされいますが、車路幅6mやコンビニなどの前向き駐車推奨駐車場は8m以上になっている場所もあります。

これらの車路幅をに考えますと、当然、車路幅が広いほど前向き駐車やバック駐車は楽になります。

ゴルフ練習場 車路幅 6m
ゴルフ練習場 車路幅 6m
郊外のコンビニ 車路幅 8m
郊外のコンビニ 車路幅 8m

車路幅 5m
車路幅 5m
車路幅 6m
車路幅 6m
車路幅 8m
車路幅 8m


「バック事故」実技講習ノートより  左バック出の車両誘導内容
「バック事故」実技講習ノートより 左バック出の車両誘導内容
「バック事故」実技講習ノートより  左バック駐車時の車両誘導内容
「バック事故」実技講習ノートより 左バック駐車時の車両誘導内容


車路幅-結論

前向き駐車をする場合は、車路幅6m以上の場所を選ぶ。右の写真のように車路幅5mであれば、大半の車は、入れやすさ出やすさを考えて、後ろ向きに入れています。

~駐車時のストレスも少なくてすみます。


❷ 車両特性

その二

▌車両特性を理解する。

○方向を変えるのは前輪

 下図のとおり、ハンドルの切れ幅の大きい方を選択した方が、

 楽に車を誘導できる。

 扇子を使って指導するのもひとつです。

 


ハンドルを切って動くのは前輪
ハンドルを切って動くのは前輪
バック出は、スペースから出ないと大きくハンドルを切れない
バック出は、スペースから出ないと大きくハンドルを切れない
バック出と前進出の違い ~バック出はハンドルの切れ幅は少ない
バック出と前進出の違い ~バック出はハンドルの切れ幅は少ない
バック駐車時は、ハンドルの切れ幅が大きい~バックで駐車する方が効率が良い
バック駐車時は、ハンドルの切れ幅が大きい~バックで駐車する方が効率が良い

車両特性-結論

ハンドルを切って動くのは前輪であることを理解すれば、後ろ向き駐車の方が楽である。

~駐車時や発進時のストレスも少なくてすむ。

参考

右の内容は、取材に来られたディレクターさんの取材体験内容です。参考になりますので確認してください。


❸ 死角

○車両前方と後方の死角距離に差がある。 

 ~ 後ろの目視死角距離は、前の目視死角距離の2倍ある。

原点回帰講習時の検証結果
原点回帰講習時の検証結果

▌バックモニターがあるから大丈夫なのか?

○バックモニターにも死角がある。

○真後ろは見えるが、車路を往来する車両まで見えない。

○バックモニターを見ながらハンドルを切ると車両前部左右角が隣接車両と接触する恐れがある。



プリウス 運転席から見た左&後方
プリウス 運転席から見た左&後方
プリウス 運転席から前方
プリウス 運転席から前方

運転席からの視野=視認範囲に差がある。

 

右図のとおり視認範囲に差があることから、バック出は車路を通行する車両の発見の遅れが生ずる恐れがある。

[車庫からの出の指導項目]

前からの出、後から出に関わらず、車庫から出る場合

●急に飛び出さない。見せる停止を意識して出る必要があります。

参考参照

「信号のない交差点での二段階停止の指導方法」

▌「駐車場内で駐車スペースから出る際に、前方通路を走る車と衝突」過失割合(ソニー損保)

 


死角-結論

・バックでの出は、上記説明のとおり死角が多いことから極力避ける方がよい。

・バックモニターは、後方周辺の障害物には有効であるが、車路を通行する車両等の発見には不向きであることを意識する必要がある。

・スペースからの出る際は、前後にかかわらず「見せる停止」「見る停止」を意識して行動する。

参考動画 バック出とバック駐車

4つのポイントを意識したバック駐車



総括 前向き駐車・バック駐車

指導のポイント

①前向き駐車と出、バック駐車と出 の両方を体験してもらう。

②上の動画「4つのポイントを意識したバック駐車」体験させる。

③なぜ②の行動が必要か? 原点回帰講習で、

・左側端の車両感覚・死角距離体験・ミラーを使っての車両感覚・急制動体験

を座学と実技で体験させれば意味が理解できるのではないでしょうか?

「ハンドル操作別 事故分析ツール」Excel版を2021.12公開しましたので参考にしてください。(車種別イラストを入れ替えることで、トラック(基本はトラック画像)、乗用車にも対応しています。)

ハンドル操作と衝突部位から指導点を探る。



バック事故防止指導 4つのポイントを意識させる“わけ”とは、【実技指導テキスト】 実車を使った交通事故防止指導マニュアル~基本を見直す原点回帰講習内の補助動画 実技動画⑦【バック駐車指導】~4つのポイントを取り入れたバック駐車指導(行動指導)に理由・根拠の説明を入れた動画です。 

動画での乗車指導は、原点回帰講習での座学(2動画)及び原点回帰講習実技(7動画)を実施した後での実践指導となります。

▲クリックで動画を視聴できます。



業務車にドライブレコーダーを搭載しているなら、記録動画を使って、講義や小テストまた認定試験を行ってみるのもひとつではなでしょうか?

          詳細は、右の画像をクリック



原点回帰講習等に関するお問合せは、

 大阪香里自動車教習所 安全運転管理支援チーム

       電話 072-831-0668

    大阪府寝屋川市木屋町13-5

 まで、ご連絡ください。