運転記録証明書を使っての個別指導と指導・講習区分けの基準づくり

 

 

 会社が社員の同意を得て運転記録証明書を取得した場合、単に社員に配布するのではなく、

「前歴回数 0回 累積点数 0点」以外の社員については個別指導で意識づけを行ってください。

 また、証明書の「前歴回数 ?回 累積点数 ?点」を基準に指導・講習区分を決める基準にすることもできます。

 下記の指導方法を参考にしてください。

 掲載内容は

1 個別指導

 ① 証明書の内容をもとに意識づける。

 ② 日本の免許取得者 7,700万人データ分析結果から意識づける。

    参考 某企業 運転記録証明書過去5年間データによる講習区分状況(288人)

2 指導区分を分ける基準にする

業務中の事故データと合わせて指導する。

となっています。



1 証明書を使っての個別指導

 


① 1年以上の無事故・無違反を意識づける。

  最終事故・違反日の翌日から1年間無事故・無違反を目指す

 意識づけを行ってください。

  右の「行政処分基準点数」クリックすれば一覧表(警視庁)

 がありますので参考にして、あと何点で「停止」「取消」になるので頑張るよう指導してください。

 


② 日本の免許取得者データ分析結果の「翌年の交通事故発生人員率」から意識づける。

 

  内容は、 自動車安全運転センター が 平成24年3月 に公表した平成23年度調査研究報告書 「交通事故・違反特性とその後の事故率の関係と その活用方策に関する調査研究 」 Ⅱ の内容を抜粋して作成したもので、内容を詳しく知りたい方は、自動車安全運転センターのホームページ内の調査研究ライブリー(https://www.jsdc.or.jp/library/index.htmlをご覧ください。

 下記表の内容は、全国の免許保有者 7,700万人 のデータを分析した

    過去5年間の事故回数、違反回数別翌年の交通事故・違反発生人員率

です。

下記の表を見てください

 ≫ 過去5年間、事故ゼロ・違反ゼロであっても、

  翌年(H22年)には、0.4%の人(232人に1人)が事故を起こしている。

 ≫ 事故は無くても違反が多い者ほど、翌年の事故発生人員率も高く、 違反がなくても、事故を

  起こす回数が多い者ほど、翌年の事故発生人員率も高い。

ことがわかります。

 この表を使って、


●日本の免許保有者の64%は、

 5年以上無事故・無違反


●5年間に無事故であっても違反をしている人は、無事故・無違反者よりも、翌年事故を起こす確率は約3倍


等の説明をして意識づけを図ってください。




2 指導区分を分ける基準にする。

 


 社員全員同じ指導も必要ですが、更に一歩進めて安全意識度に応じた指導も必要ではないでしょうか。

 どのように区分するか?

 その一つの方法が運転記録証明書の記録である「交通事故回数」と「交通違反回数」を「過去5年間の事故回数、違反回数別翌年の交通事故・違反発生人員率 表」にあてはめて区分けすることもできます。


 下記表は、上の表を簡素化したものです。参考にしてください。

早見表の活用

 

例1 個別指導

運転記録証明書と

早見表を見せて

個別指導に使うこともできます。

 

例2 指導、講習

内容を区分して使用

~□白色枠内の人

・座学講習

 

黄色枠内の人

・座学講習

・Webテストを使用しての意識づけ

 

赤色枠内の人

・座学講習

Webテストを使用しての意識づけ

・実技講習

 

等 自社にあった使い方ができます。




例2の内容を表にすると下記のようになります。

区分 事故0回 違反1回以下

・事故0回 違反2~5回

・事故1回 違反0~2回

 ・事故0回 違反6回以上

・事故1回以上 違反0回以上

 
 ▼
座学講習

Webテスト


実技講習



下記参考の某企業の人員をあてはめますと

社員288人 196 人 84 人 8 人
比率

68 %

29 % 3 %

参考 某企業 運転記録証明書過去5年間データによる講習区分状況(288人)

 下記表は、某企業が取得した運転記録証明書の内容を「事故・違反分布表」にしたものです。

≫特に注意すべきは、ゾーンの8人です。

前歴0回0点の人の6倍以上も高い人身事故発生率が予想されます。

業務中の事故があれば内容に沿った実技講習

事故の無い人は多発違反に沿った実技講習

が必要です。

下記表は「交通事故分析ツール」を使って運転記録証明書データを入力することで把握できます。


 このように、社員自身が起こした交通事故や交通違反を基に指導区分を変えれば、反論も少なく無事故・無違反の意識づけになると思いますし、管理者としても説明しやすいのではないでしょうか。

 ★管理者の方へ

 この指導方法は、継続してこそ効果が表れます。

 ≫自分自身が、無事故無違反を意識して継続しないと白枠ゾーンに入れません。

 ≫業務中の事故もカウントするのも一つの方法です。

▼実施する場合のツール及び私どもが行っている実技講習も参考にしてください。



3 業務中の事故データと合わせて指導する。

 


 業務中の事故データと違反記録内容と合わせて指導してください。

  運転記録証明書に記載されてある違反項目と業務中の事故内容を合わせて見ると、事故原因となる違反があることがあります。

例… 一時不停止、信号無視、一時停止違反が多い。 

   → 出会い頭事故、バック事故

    速度違反、携帯電話の使用違反が多い。 

   → 追突事故、進路変更時の事故

などが考えられます。  


また、運転記録証明書内容をデータ化することで、当教習所が無償提供しておりますExcel仕様の「事故分析ツール」を使用することで、下記画像の内容が一目でわかり指導しやすくなります。