追突しないための体験型指導方法

(基礎編 空走時間体験等)


 

 


追突しないための体験型指導方法①(基礎編 空走時間体験等)


 

業務中に発生する追突事故の防止は、管理者にとって重要課題です。

グラフを見ていただいたらわかりますように、

発生は全事故の20%しか発生していないのに、

≫ 人身事故率が、40%以上と他の事故の4倍

≫ 損害額が全体の半分を占め、1件当たり50万円以上

となるなど重点抑止対象の事故形態です。

 

では、どのように指導すればよいのでしょうか?

 




交通事故直前の速度は、10km/h以下が全体の約40%を占める

 

 危険認知速度とは、ドライバーが、相手車両などの危険を認知して、ブレーキを踏んだりハンドル操作などの危険回避措置を取る直前の速度のことです。 事故直前速度とも呼ばれています。

 警察庁が公表した平成26年中の交通事故発生状況によりますと、事故直前の速度は10km/h以下が約40%を占めています。 


 速度が速くなれば、下記表のように死亡事故率は高くなりますが、企業として事故防止と指導を考えた場合、まず多発域にある10km/h以下の事故を足掛かりに指導するとよいでしょう。

 今回のテーマである追突も、低速時の発進追突を主体に指導して全体の追突の事故防止を理解させようとする指導方法です。

■ データから見るヒヤリハット

  ~ソニー損保、「2013年 全国カーライフ実態調査」~

○危うく事故を起こしそうになった人のうち「追突事故」が最も多く6割弱(58.6%)

○また、1年間に事故を起こした人は、"ヒヤリハット"の経験率が高く、特に「追突事故」(41.1%)では、この1年事故を起こしていない人(それぞれ20.1%、5.9%)の2倍以上の経験率となっています。

 詳しい内容を知りたい方は、右ボタンをクリックし 図29、30を参照

 

 

 ■ ヒヤリハットの分析から見る指導方法

   ( トラック ~ 前車の急減速・停止 )



講習の狙い

 「車は急に止まらない。」ことを理解させて、信号待ち、渋滞中、右左折時、料金所の通過時の発進時や低速走行時の追突事故防止と、中・高速域の車間距離の意識づけを目的にしたものです。

信号待ちからの発進時

渋滞中からの発進時


右折時

左折時

料金所通過時


参考動画

 右の動画は、信号待ちを利用して日報を作成しています。 

 運転者のチェンジ等の操作状況はわかりませんが発進追突を防止するためには、チェンジを「N」にしてブレーキを踏むか、「P」にする意識と行動が必要です。

 


≫ その他 参考動画

 ○JAFが運営する「JAFセーフティシアター」にドライブレコダーで撮影された追突事故の動画があります。

 ○JAF MATE社「ドラドラ動画」、渋滞中の追突事故動画があります。


関連動画

 信号無視は、反応時間に関連しており、社員の方が反則切符を切られ「あれは黄色だったのに赤色になっている。」等の言い訳を言った場合等には下記動画と下記の反応時間の計測をするなどすれば効果がありますので利用してください。

≫ 信号無視の形態

 ●故意の信号無視  ●一点集中の信号無視

 ●思い込み・過信による信号無視

 ●黄色信号の判断誤りによる信号無視

の動画と黄色信号無視の判断誤りを中心に解説していますので参考にしてください。

 また、前車に続いて走行している場合、黄色点灯時の判断が追突の原因にもなります。



 

指導手順

 追突事故の発生要因は、 「速度に対応した車間距離」「脇見」が主な原因となっています。

 これらの原因を理解してもらうためには、運転する自分自身と車の特性を理解する必要があります。社員に「適正な車間距離をとりなさい。」と指導しても、その意味を理解しているのと理解していないでは結果は大きく変わりますので、下記の指導手順を参考にして運転する自分自身」「車の特性」を理解させててください。

 

1 速度に対応した車間距離を理解させる。基礎編このページで説明します。

 ~ 公開されているWebにあるツールやアプリを利用しての意識づけ~

  車間距離を理解してもらうためには、停止距離(空走距離+制動距離)を理解する必要があ り、特に空走距離を理解しないと車間距離を取る必要性も理解できません。

 また、脇見=空走距離であることをツールやアプリ通じて理解させてください。

 

車を使用した追突防止体験講習方法実技編をご覧ください。

 1“ 発進後の急制動体験 ” と 2“ 日頃の車間距離測定 ” 

  注: この指導方法は「原点回帰講習」に含まれています。


3 業務中の追突防止のための運転操作指導方法実践編をご覧ください

 実践編 事故報告・発進追突事例からみた指導方法、同乗指導方法、ドライブレコダー装着車の指導方法の手順で説明します。

 


 1 「速度に対応した適正な車間距離」指導方法

追突事故を防止するためには、「速度に対応した適正な車間距離」が大きな要素を占めます。

現実は、下記表が示すとおり80%以上の人が適正車間距離を理解していないのです。

 適正な車間距離を理解してもらうためには、「停止距離=空走距離+制動距離」の体験を通じて、特に空走距離(空走時間)については、「人間が操作する以上、必ず空走時間は存在する。」ことをドライバーに知ってもらう必要がありますので、この項では空走距離(空走時間)についての指導方法について説明します。

■ 指導方法概要

 ① 空走(反応)時間・距離を理解させる。

 ② 反応時間(空走時間)についての指導

  ■ゲーム感覚で指導する。

  ■応用指導

  ■データを基にした空走距離と制動距離を指導する。

  ■参考(アプリを使っての検証結果)

 となっております。


① 空走(反応)時間・距離を理解させる。

ドライバーが危険を感じてブレーキを踏み、車が止まるまでの距離が停止距離です。

 この停止距離は、危険を感じてからブレーキを踏みブレーキが効き始めるまでの空走距離と、ブレーキが効き始めてから実際に車が停止するまでの制動距離を合わせたものです。


前車との性能等がすべて同じ、反応時間0秒なら、車間距離1cmでも追突しません。

 しかし、人が車を運転する以上、空走時間=反応時間が生じますので、そのことを理解させて下さい 

 

 


原点回帰講習用「反応時間測定 & 停止距離計算」ツールを使って意識づけ

 (H30.4公開) 

 

█  特徴

▼ 反応時間測定と停止距離計算が一画面でできる。

● 反応時間測定を10回にして測定時間を短縮

● 反応時間結果に基づいて、

 ➤ 低速時 5Km/h

 ➤ 中速時 40Km/h

 の両方の空走・制動・停止距離が表示される。

 ➤摩擦係数、速度の変更ができる。【再計算】可能

● 反応時間を変更して再計算も可能

● 再測定も可能


反応時間測定画面

▼原点回帰講習用「反応時間測定 & 停止距離計算」ツールの使い方及び指導方法は、下のボタンをクリックしてください。

▼停止距離結果画面

~反応時間結果に基づいて停止距離計算


▼反応時間測定と停止距離計算

▼スマホ操作時の反応時間測定と停止距離計算



█ 他のツール、アプリを使っての指導方法

(上記「反応時間測定 & 停止距離計算」ツール公開前までの説明内容)

▼下の表を見てください。

空走(反応)時間 0.75秒での40Km/h時と4Km/h時の停止距離(空走+制動)の表です。

下記表は、Webサイト「音と色と数の散歩道」■ 車の数学(22):車の停止距離の計算(JavaScript版)を使って作成したものです。


時速40kmの場合、

 空走距離 8.33m + 制動距離 7.87m = 停止距離 16.21m

 と停止距離の半分が空走距離です。

 

≫人が歩く速さ時速4Kmの場合は、

 空走距離 83cm + 制動距離 8cm = 停止距離 91cm

と大半が空走距離で占めています。

 この5Km/h以下が指導のキーポイントなります。

  私どもも活用させていただいています

「車の停止距離の計算」が自動で作成できるサイトです。(▼クリック)


このように空走距離は、

高速・中速・徐行(一般的には10km以下)・低速時を問わず全てで発生します。

低速になればなるほど空走距離の占める割合も高くなります。

この低速5Km以下(人の歩行速度)での停止距離体験させて、

「急に車は止まらない。」=「空走距離」を理解させることが追突防止指導の第一歩です。

 


② 反応時間(空走時間)についての指導

ゲーム感覚で指導する。

 ~スマートホンアプリを利用して反応時間(空走時間)を教える。

 

スマートホン用アプリには、反射神経を測定する無料アプリが色々ありますので、使い勝手の良いものを利用してください。(右の画像は反射神経を測定するアプリの画像で、10回の平均が表示されます。)

 

ただ違いは、

≫アプリは、指の操作

≫ブレーキは、足の操作

で、足の操作の方が若干反応時間は長くなり、

踏み替えや構えでも反応時間は変わります。

スマホアプリの利用・・・一例


応用指導

一般的なブレーキ操作の反応時間は、0.75秒と言われていますので、下記の応用内容を参考にして操作させください。

❶ 指の位置をスマホから離して操作させる。

❷ 携帯やスマホで通話しながら操作させる。

❸ メール内容を読ませながら操作させる。

また、操作途中に質問を投げかけ注意を逸らす反応時間がどのように変化するか色々試してみてください。

 

平均時間の記録

 実施した場合、すべての平均反応時間を記録しておいてください。別掲載の「2 車を使用した追突防止体験講習方法」で使用します。

高さを変える。

通話やメール内容を見ながら


追突事故惹起者や携帯違反のある者ついては必ず❷❸を実施して、人には反応時間がある。ことを理解させてください。 

他の反応測定ツール

 PCやスマホで反応時間の測定ができるサイトがありますので紹介します。

http://fukuno.jig.jp/app/signaltest/

福野泰介の一日一創 

信号反応テストのルール

キーボードのFとJまたはタップでペダルを操作しますアクセルを踏んだ状態でスタート

光る信号に応じて、下記の反応を素早くしましょう

青信号:アクセルを踏んだままにする

黄信号:アクセルを離す

赤信号:アクセルを離してブレーキを踏み続ける


※参考、運転適性検査器材によるデータ(50回)

反応時間平均10代0.50秒、70代0.63秒

正答率 30代96.0%、50代94.0%、60代93.0%、70代91.6%



データを基にした空走距離と制動距離を指導する。

先に説明しました右の「車の停止距離の計算」ソフトを使って空走距離、制動距離、停止距離を測定します。

≫ 上記、通常データと応用の❶❷❸データを入力して計算結果を見せて説明してください。

下記結果は、上記スマホ画像の反応時間を入力した場合です。


参考(アプリを使っての検証結果)

 被験者… 年齢20代 男性(反射神経 優秀)

 Ⓐ  通常操作

 Ⓑ 10cm離して操作

 Ⓒ  文書読み上げしながら操作

ⒶⒷⒸの空走距離5~8m

ⒶとⒸでは、0.25秒の差がある。

空走時間 0.25秒の差は、約3m


上記のように意識しながら操作しても、反射時間(空走時間=空走距離)があること、そのためには安全な車間距離と脇見をしない必要性を説明してください。

 

 また、Web「実務の友」には「車速から停止距離を計算する」ツールがあります。

 反応時間0.05秒単位、車速は5km/h単位ですが、車速に対応した停止距離等が分る一覧表が表示できますので指導に活用できます。

クリック