■ 車線(進路)変更時の交通事故(27例) 内容から見た指導方法

 

 

 車線変更時事故の指導方法で悩んだ場合は、自社で発生した交通事故発生内容を再確認することで指導方法が見えてきます。


 まず、下記に掲載しています「車線(進路)変更時事故発生報告書」の内容を読んでみてください。指導点が見えてきます。また、検討方法を掲載しておりますので参考にしてください。

 

 車線変更の指導は、「原点回帰」講習をまず行った上で、同乗指導による反復実践講習がベストです。

 同乗指導する時間が取れない場合は、当「支援チーム」までご連絡いただければ訪問指導させていただきます。

 

指導方法は、

≫ 1 総論-事故発生報告書から見た指導方法の検討

 (このページで説明します。)

具体的指導方法

≫ 2 合図と並行移動イメージの車線変更(別掲載)

≫ 3 駐車等・危険回避の車線変更(別掲載)

の手順で説明します。 

 

1 総論- 事故発生報告書から見た指導方法

 



事故直前時のドライバーの状況」

   表は、下記の内容から車線変更する意思と、車線変更時の基本行動である「合図」「確認」をクロス集計したものです。

  車線変更時の交通事故 直前のドライバーの状況

 

                         

件数

合図

有り

安全確認

有り

27

2 1
1 車線変更の意思がある 23 2 1
2 危険回避のため咄嗟にハンドル回避で車線変更 2    
3  脇見等により無意識のハンドル操作で隣接車線に車線変更 2    

当教習所が提供しております「交通事故分析ツール」使用し「事故形態概要」より抽出した車線変更時事故27例(第1当)です。

 

▼ 車線(進路)変更時の交通事故発生報告書内容

≫  自動車専用道を直進中インター合流付近で、トラックが本線に入ろうとしてしてきた。接触すると判断しハンドルを右に切った所、追い越し車線を走行中の乗用車と接触した

≫  自動車専用道の料金所の6車線から2車線への合流時、○○道より○○道へ入ってきた直線車と接触してしまった。

≫  右、車線変更しようとした際、右車線後方より来ていた相手車両が自車をよけようとして縁石に車両を擦った

≫  片側2車線の道路でよそ見をしラインを越えて接触しまい、右側を走行中の車両の左後方に接触した

≫  自動車専用道を走行中に○○線の分岐点で左に車線変更したところ左後方からの直進車側面に衝突。

≫  高速道路を直進中にトンネル内で左車線に車線変更したところ左後方から直進していたバスに接触した。

≫  片側3車線の道路で一番左車線にミキサー車両が止まっていたが急に中央分離よりに割り込んできたのでそれを避けようとし後方から来たタクシーと接触した。

≫  交差点手前に路上駐車の車両を避けようとして右へ寄り、右側車線を走行中の車両と接触

≫  片側2車線の道路右側を走行中に左側車線に車線変更していたところ左後方から直進の原付バイクに接触した。

≫  左車線後方から来ている、タクシーを先に行かせてから、左に車線変更をさせようとしたところ、タクシーの右後方に接触した

≫  片側3車線の道路を直進中に右に車線変更したところ相手車が右後方から直進してきて左に戻したが接触した。

≫  片側2車線の左側を走行中に右ウインカーを出して車線変更したところ後続車が来ており避けるために右の草に接触。

≫  側道から本線に進入時に、本線走行のトラックが車線を変更してきたのに気が付かず接触。

≫  追い越し車線に車線変更を行なおうとした時、追い越し車線走行中の車と接触。

≫  信号待ち中に携帯電話の着信があり、信号が青に変わったため、左路肩に駐車しようと左後方を確認して左側へ進行し、止まったと同時ぐらいに当方バイクに相手方バイクが衝突転倒していた

≫  3車線ある大きな道路の交差点手前の脇道に左折しようと指示器を出して左方向を目視で確認しましたが、後方のトラックがかなり詰めてきていたため、死角にいる原付に気付かず左折し接触しました。

≫  渋滞中、左車線に進路を変更する際、前車後ろバンパー左角に当方右前バンパーが接触してしまいました。

≫  二輪車で走行中、前方の相手車両が信号待ちにて停止。相手車両の前方スペースに入ろうとして相手車両の右側を通り抜け、ハンドルを左に切ったところ前輪が枯葉にスリップして左側に転倒した。その際、相手車両に接触した。

≫  左車線に進路を変更する際、左後方のバイクとあたる

≫  直進中後方を見るため減速し右車線に寄ったため追い抜きかけた車に当たる

≫  3車線目から2車線目へ進路変更する際、後方から来ていたバイクが接触は無かったものの転倒

≫  3車線目から1車線目に進路を変更した際、1車線目を走行していたバイクと接触

≫  左側車線を走行中、前方に低速車を追い越すため右後方の確認をせず進路変更したため走行中の車両の左ドア付近に自車の右前部を衝突させたもの。

≫  車を走行中、側道に入る際に右から何も来ないと確認をしたのだが通過するときに自転車に気づき、車の右後ろタイヤと接触した。

≫  4車線ある交差点で左から2番目の直進車線の右側を信号の先頭まで行き、左側に寄ろうとハンドルを切るのと同時に信号が青になり、左側に停車していた相手車両が発進した為に相手車両のフロントバンパーの右側面に接触いたしました。

≫  自動車専用道路の側道から本線に進入時に、本線走行のトラックが車線を変更してきたのに気が付かず接触。

≫  追い越し車線に車線変更を行なおうとした時、追い越し車線走行中の車と接触。

 


▼ 発生状況内容から見た問題点と指導方法

  上記報告書の内容を下記表のように分類すると、

  ≫ 合図を出さない者が90%

  ≫ 安全確認した者は1人

と、車線(進路)変更による事故が発生しても当然で、この合図安全確認が車線変更時の指導ポイントの基本となります。

(再掲) 車線変更時の交通事故 直前のドライバーの状況

 

                         

件数

合図

有り

安全確認

有り

27

2 1
1 車線変更の意思がある 23 2 1
2 危険回避のため咄嗟にハンドル回避で車線変更 2    
3  脇見等により無意識のハンドル操作で隣接車線に車線変更 2    

 

◆安全運転管理支援チームからのアドバイス

 ▼交通事故発生報告書を提出させる際は、下記ポイントの内容を記載させてください。

 上記の内容を見ていただいてもわかりますように、交通事故発生報告書の内容に進路変更時のポイントがほとんど記載されていません。最低限、下記のポイント1~3の内容を記入させてください。

 確認ポイント1≫ 進路変更前、サイド・バックミラーで確認したか?

 確認ポイント2≫ 3秒以上方向指示器を出したか?

 確認ポイント3≫ 車線変更する前、目視で安全確認をしたか?

事故者に、このポイントの記入を求め記載させることが、「車線変更時の事故防止」の一つの指導となります。

 詳しくは、「管理者支援ページ

 ② 交通事故発生報告書の記載例(安全運転指導の一つとして記載させましょう。)参照

してください。

 

▼合図なし車両によるヒヤリハット内容(他車の車線変更時)

■ドライバーの車線(進路)変更を考える

 

 ドライバーが車線を変更する目的①②③と意思の有無、及び事故を起こさないための運転行動をクロス表にしたものが下記の表です。

ドライバーが進路を変える 車線変更する

事前

把握

先見性

事故を起こさないための運転行動

指導

方法

目  的 意思 咄嗟 合図

安全

確認

速度

車間

距離

制動

ブレーキ

先の交差点での右左折のため     ○ 

◎  ◎  ○   
分岐、合流するため  ○   ○  ◎  ◎  ◎  ○   
前車の追越し     △  ◎  ◎  ◎  ○   
駐車車両、工事場所の回避     △  ◎  ◎  ◎  ○  ○ 
落下物、物の飛散回避       △  ◎  ◎    ◎ 

 

■ 車線変更の指導方法

 車線変更を指導する場合は、表の①意思がある場合、②③の意思と咄嗟が複合している場合を順に指導するとよいでしょう。

 

▼表①の車線変更する意思の有る運転行動

 ドライバーが車線変更する意思をもって行動する場合、「合図」「安全確認」は法に定められた内容であり、事故を起こさないためにも必要不可欠な運転行動です。

 この運転行動を省略すると、車線変更時の事故発生率が高くなります。

➡ まず合図」と「安全確認」の意味を理解させる必要があります。 

 

参考動画

 加速車線から一気に追い越し車線へ車線変更 

・車線変更車両の推定速度 60Km/hから80Km/hへ加速

・追い越し車線の車両は100Km/h前後

・この状態で事故になれば、

 ≫車線変更車両➡ 追突された。

 ≫追い越し車線車両➡ 割り込まれた。

~合図、死角、安全確認、速度、予測等のKYT動画~

 


▼ その他 参考動画 (ドライブレコダー撮影映像)


 

○ JAFが運営する「JAFセーフティシアター」シアターに危険な車線変更動画があります。


○ JAF MATE社「ドラドラ動画」に他車を考えない、危険な車線変更動画があります。



▼「合図」について

 詳しくは、「管理者支援ページ」

 ① ★右左折・進路変更時の事故(合図)と指導方法 を参照してください。

 

 「合図は車同士のコミュニケーション」であることを理解させてください。

  車の動きや行先を知るには、

  【ブレーキ燈】【左右の指示器】【バック燈】しかありません。

 それ以外は車の動きを見て判断するしかないのです。


● 合図は出すだけでは、意味がないのです。

 ≫ 合図を出しても周りが認めてくれなければ効果がありません。

     少なくとも周りのドライバーにその合図を出して意思表示をし、それでは「どうぞ」とコミュニケーションをとれるだけの時間が必要となります。

それが道路交通法で定められている合図を出す必要な時間(3秒)であり距離(30m)です。

参考動画車線変更時の合図

 右の動画は、講習車に搭載されてあるドライブレコーダの動画です。

 ほとんどの受講生は合図を出して3秒以内で移動し始めます。

 注:動画内の速度表示左右にあります▷は指示器です。またその下に時間:分:秒が表示されてありますので参考にしてください。なお、安全確認・目視状況等はプライバシーの関係で隠してあります。


◆社内でできる合図の実技指導方法

 右の動画は、大型車と普通車の場合ですが、

 二台を使用して、安全確認と合図の見え方

①右側車両のサイドミラーにどのように写るか?

②左側車両から右側車両の合図がどのように見えるか?

を体験させ、合図・安全確認・目視の重要性を指導してください。

★貨物車の側方走行時に少しの意識をもって考えてみてください。

★貨物車の場合は、この講習が重要です。

▼側方にいる普通車がどの地点いるとき、ミラーで見た場合見落としやすいか。・・・

 



 ◆「 他車にプレッシャーを与えない車線(進路)変更」を考えさせてください。

  図例 緑の車が車線変更のための合図を出しています。どのように考えますか?

 

 

図1の状態で、緑色の車を認めた場合、

≫加速状態であれば、

 前車を追い抜いてから車線変更するんだろうと、安心感を持てますが、

≫相対速度の状態では、

 自分の車を 

?≫死角に入って

 認めていないのでは? 

?≫このまま車線変更

 してくる?

と不安に感じます。

図1下

 不安に感じ、速度を緩

めました。

 図1 


◆参考動画

 右の動画は、支援チームの講習車が指定速度50Km/h道路を走行中に遭遇した二つの動画です。

 事故には至っていませんが、こちら側がヒャットした場面で、追越し車両や車線変更車両が気づいているかは不明です。

~ KYT動画としてお使いください。

追越し動画

ポイント1

~ 車線変更側後続車に3秒以上の合図(指示器)で車線変更の意思表示行動が必要

 指示器は点灯していますが、車線変更側の車両に3秒以上見せることなく、当車を追い抜くとほぼ同時に走行車線に進入しかけています。

ドライバーは左側に車線変更する際、ミラーや目視による安全確認を怠った行動です。

ポイント2

~ ミラーや目視による安全確認行動が必要

・ドライバーは追い越す車両をミラーや目視による安全確認を怠った行動と考えられます。

KYT動画(追越し時の車線変更)

KYT動画(後方カメラがとらえた危険な車線変更)

加速車線から追い越し車線へ

※検討をする場合、軽四輪及びトラックの双方から見た検討が効果的です。

≫トラックの場合は、軽四の割り込み行動からの時間系列(秒数)とトラックの行動が検討材料となります。


軽四輪の ドライバーが周りの車両に対する意思表示と安全確認事故を起こさないための担保行動の必要性を理解し行動していれば、このような行動にはならないでしょう。

また、トラックは割り込まれた腹立たしさは分かりますが、その後接近したあおり運転状態を続けると、次に起こりうる事故すなわち追突事故の防止を考えた運転行動が必要となります。

~ ドライバーは気持ちのリセットが必要です。「なかったことにする!(受講者であるプロドライバーの言葉) 

図2の場合では、

 前車との車間距離もあり、緑色の車の車線変更をドライバーとして受け入れる状態にありますから安心感があります。

 

 

 

 

図2下

 この場合であれば、自車を加速させない限り車線変更されても不安は有りません。

図2


ドライバーは、図2のように他車にプレッシャー与えない方法で車線変更しなくてはなりません。

 

 現実は、他車のことは考えない「おざなり」の合図を出すドライバーが多いため、

  「出した!」「出ていない!」「割り込んだ!」「追突された!」

など、当事者同士のトラブルになることが多いのです。

 

■ データから見るヒヤリハット

  ~ソニー損保、「2013年 全国カーライフ実態調査」~

 1年間に事故を起こした人は、"ヒヤリハット"の経験率が高く、特に「追突事故」(41.1%)や「車線変更時の事故」(18.9%)では、この1年事故を起こしていない人(それぞれ20.1%、5.9%)の2倍以上の経験率となっています。

 詳しい内容を知りたい方は、右ボタンをクリックし 図30を参照


 

  進路(車線)変更時の事故やトラブルを防ぐ為には、法が定める「進路変更方法」「合図」を最低限理解さておく必要があります。

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「道路交通法第26条の2」には(進路の変更の禁止)

1 車両は、みだりにその進路を変更してはならない。

2 車両は、進路を変更した場合にその変更した後の進路と同一の進路を後方から進行してくる車両等の速度又は方向を急に変更させることとなるおそれがあるときは、進路を変更してはならない。

道路交通法第53条(合図)

 車両(自転車以外の軽車両を除く。第3項において同じ。)の運転者は、左折し、右折し、転回し、徐行し、停止し、後退し、又は同一方向に進行しながら進路を変えるときは、手、方向指示器又は灯火により合図をし、かつ、これらの行為が終わるまで当該合図を継続しなければならない。

道路交通法施行令第21条(合図の時期及び方法)

 合図を行う時期~その行為をしようとする時の三秒前のとき。

参考

 右左折の合図を行う時期~その行為をしようとする地点(交差点においてその行為をする場合にあつては、当該交差点の手前の側端)から30メートル手前の地点に達したとき。


 具体的指導方法は、

≫ 2 合図と並行移動イメージの車線変更②(事故惹起者・初心者を含む)をご覧ください。

≫ 3 路上駐車、落下物等危険回避の車線変更③

      (路上駐車、落下物、飛散等による進路変更時の指導方法、事故惹起者・初心者の特徴と指導)

で説明します

 また、内容についての質疑や他の指導方法についてのご質問は「安全運転管理支援チーム」までご連絡ください。