構内事故を考える 3
~ハンドル操作と衝突部位から構内事故を考える~
自社構内・前路上 前進時とバック行動時
次に、A社の自社構内(拠点)・前路上での事故の内容を見てみましょう。
また顧客先との拠点構内事故等と比較してみるとどうでしょうか?
自社構内(拠点)での事故は、下記表のとおりで構内事故全体(125件)の20%(25件)の発生率となっています。
▌ハンドル操作行動別では、25件中、バック時が17件で自社構内(拠点)事故の約70%を占めてい
ます。
▌相手方は、車が20件と最も多く全体の80%を占めています。
反面、顧客構内・前路上で多かった高所障害物衝突はありません。
▌事故場所別・事故形態別発生状況
▌自社構内(拠点)・前路上での事故は、バック事故が約70%を占めている。
▌衝突の相手方は、車が80%を占める。
自社・拠点構内での衝突が最も多いのは、車への衝突です。
上記表の通り、自社・拠点構内における車への衝突は、全発生件数(25件)の80%を占める20件発生しています。
前進時で、7件(35%) 後退時で、13件(65%)
となっており、内容を見てみると、【止まる】【確認する】【やり直す】が、
出来ていません。
前進時は、操作ミスを除く6件は、巻込みが3件と最も多く次いでリアーオバーハングの尻振り3件となっています。
これら衝突は、車両特性(巻込み、リアーオバハング(尻振り))よるものですので、その点の指導が必要です。
障害物と接触直前で【止まる】ミラーで【確認する】接触しそうなら【やり直す】意識と行動が必要です。
(直進時)
・車両を移動させようとし直進した際、ブレーキの足が滑り駐車中の車両に
追突した(ブレーキ操作ミス、車)
・ホームに接岸する際、接岸していた4tが少し斜めに駐車していたことから
スペースが狭かった為、一旦前進しようとしたところ、左側接岸車両の側面
中央に観音扉を接触させた(認知ミス、車)
(左方前進)
・集配ドライバーが駐車場にて左折で車両を発進させる時に右側から来る車両に
意識が集中し左側の巻き込み確認不足から一時停止で停車していた相手車両に
接触した(一点集中による認知ミス、巻込み、車)
・駐車場内にて切り返して前進する際に左側にて駐車していた2トン車に巻き込
みにより接触した(認知ミス、巻込み、車)
・荷下ろしのため、乗用車横に駐車。積み込みを完了し出庫する際、左側の停車
中乗用車に接触した(認知ミス、巻込み、車)
(右方前進)
・構内移動の際、車両左側に駐車車両と真後ろ後方にホーム接岸車両があった
為、少し後退してから右側旋回し方向転換しようと右ハンドルを切り前進した
ところ、オーバーハングにより左側に駐車していた車両に接触
(認知ミス、尻振り、車)
・ホームから離岸する際に左ミラーをたたんだまま離岸したため、左隣に駐車
していた社用車の開いたドアにオーバーハングにより接触した。
(認知&操作ミス、尻振り、車)
※ 衝突部位▶ドライバーが、見落とし・失念や判断誤りによって
衝突したカ所
※ 衝突部位件数が 多い▶ 指導項目
▼直進バックの5件は、後方確認を行わず後退しています。
うち3件は、「後方確認を怠り」と言っており、真後ろ衝突は3件、
後部左角衝突は2件となっています。
バックする際、まずバックモニターがあれば、モニター確認、次に
左右ミラー確認をしてから行動すれば事故は発生しなかった。
と思慮されます。
▌後退時
▼直進バック
・後退場所を勘違いし、後方確認もしないまま後退し車に後突した
(直進バック、認知ミス、車)
・荷後帰着し支店入り口前で構内確認したところ自社ドライバーが集荷出発の為
出てきたので離合出来ないと判断し後方確認を行わず後退した所後方に駐車し
ていた車両に後突した
(直進バック、認知ミス、車)
・ホーム接岸後退時、既に接岸していた左側車両の開いた右観音扉に接触した
(直進バック、認知ミス、バック前のミラー確認)
・集荷先構内で待機一時停車位置から、駐車場所の後退する際、後方確認を怠
り、後方に駐車していた車両に後突した
(直進バック、認知ミス、車)
・支店到着後(天候小雨)、荷卸し待機の為駐車場へと後退する。左側駐車の大
型車輌右前方に後突
(直進バック、認知ミス、モニター確認していない、車)
先ほどの直進バックと同様、行動する前にバックモニター確認と左右ミラー確認をしていれば、大半のバック事故は防げたのではないでしょうか?
この事故内容に書かれてある内容を見ていると、大半が、見ただけで車の存在を「危険物」と意識せずに行動していませんか?
また、左右バックする際は、左右後部角のはみ出しを意識し、一気に
下がるのではなく、直前で停止し、バックモニターやミラー確認また降車確認する必要があります。
▼左方バック7件、右方バック1件
・発送残荷を積載してある大型車から荷物をおろすため集配バース側に後退移動
していた。右側に気を取られ左側確認不足のため駐車中の4t車両にフロント
オーバーハングにて双方の左前方を接触させた
(左方バック、認知ミス(後方に意識が行き過ぎ)、車)
・駐車場より車両を出す切り返しの後退時、路面の溝にタイヤを取られ、右側に
駐車していた車両に後突した
(左方バック、判断ミスと操作ミス、障害物(車)手前での停止、車)
・給油後後退発進時、後方確認不十分のため別の駐車車輌に後突した
(左方バック、認知ミス、車)
・集荷完了後、支店構内にてUターンして後進した際、接岸していた路線車の左
前方と当車の左後方が接触した。
(左方バック、認知ミス、車)
・ホームにて、仮駐車していた集配車を移動させる為、夜間仕分け職が後退にて
車輌移動した際、構内フェンス側に駐車していた別の集配車両左前部に後突さ
せた。
(左方バック、認知ミス、バック前の後方確認、車)
・業務終了後に、駐車場の所定の位置へ後退進入時、ボディー右側後部にて右側
に駐車中の車輌の左ドア付近に後突させた
(左方バック、認知ミス、後退前周辺の確認、リアーオバーハング、車)
・燃油補給のためタンクローリが停車、作業していたが、給油可能と判断しバッ
クをしたところ、目測を誤り、左後方をローリーに接触させた。
(左方バック、判断ミス、障害物手前での停止と安全確認)
・支店構内で荷卸を終え車両の移動時、作業中の協力会社大型車両脇をバックで
通過する際に、確認不十分の運転操作で自車両の後部左角を接触させた
(右方バック、認知ミスと判断ミス、車)
施設設置物(2件)
・構内にて荷卸のため車両を後退させる際、左後方建屋の階段出入口扉に気付か
ずバンパー端を後突、破損させた
(直進バック、認知ミス、扉)
・支店構内の給油スタンドに後退で車両を付け様とした際、スタンドに設置して
あるPOSボックスに距離感を謝り車両左荷台後方で接触させた
(右方バック、判断ミス、POSボックス)
電柱
・離岸し右前方に移動する際、観音扉を閉め、方向転回しようとしたところ2t
車両が進入しため、先に接岸をさせた。2t車両を避けながら左後方に後退
時、右前方にある電柱と接触
(左方バック、認知ミス、前部オバハーング、行動前の周囲確認)
フェンス
・大型車両をバックで駐車しようとした際に、普段から駐車場内の鉄板を目安に
バックしていた為、今回駐車した場所が鉄板の位置が違うにもかかわらず、
同じ感覚でバックしてしまった為、後突した
(直進バック、認知ミス(思い込み)、行動前の安全確認)
門扉
・配達先に向かう為構内のカーブを曲がる時に、内輪差を意識せず左折した為、
左側の門扉に接触させた
(左方前進時、認知ミス、車両特性を意識した行動が必要)
上に掲載する構内事故内容の構内における後退時の行動等を見て、上記【バック駐車の基本ポイント①~④】をあてはめて考えてみてください。
▌4トン車と2トン車のバック時はみ出し距離
両車とも停止してハンドルを一杯切った状態から計測しています。
▌ドライバーに日頃運転する車は、どれぐらい尻振りするか? どれぐらい巻き込むか? また、どれ
ぐらいはみ出るかを教え、また、ポイント、ポイントで必ず停止して確認することを指導してく
ださい。発生内容を確認していますと、ほとんどが停止しての安全確認が出来ていません。
事故の発生を抑えるためには、停止しての安全確認が一番です。
★交通事故発生原因の85%は、認知ミスと判断ミスということを忘れてはなりません。
社員の意識度、認識度を把握する。
・安全確認とは?
・業務運転車両の車長、車幅、車高
・オバーハングについて
・バック事故を防止するための
バック時4つのポイント
(行動と理由・根拠)
の4問と解説~右のPDFをダウロードして実施してみてください。
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「反応時間・停止距離計算ツール」は、車は急に止まらないことを理解してもらうための説明ページです。
▌実技指導用 構内事故防止訓練用配置図