ヒヤリハット分析から見た指導方法5

 

 

 

飛び出しに対する指導方法

~ 歩行者・自転車 ~


 

 

 車で走行していると、歩行者、自転車、二輪車、自動車の飛び出しでヒヤッとすることがあります。今回は、ヒヤリハットデータから「飛び出し」の分析内容を基に指導方法を考えてみましょう。

 

 では、ドライバーは「飛び出し」についてどのように感じているのでしょうか?

 損保会社のアンケート調査ありますので参考に見てみますと、

≫自動車・自転車でのヒヤリ・ハット経験 三井ダイレクト損保調べ

≫「保険スクエアbang! 自動車保険」が行った「交通事故とヒヤリハットに関する意識調査」

では、一番多いのが下のグラフのとおり「人・自転車・車の飛び出し」となっています。


「保険スクエアbang! 自動車保険」が行った「交通事故とヒヤリハットに関する意識調査」2014.04.11


 この飛び出しについて、まず、考えておかなくてはならないことは、自動車は交通強者として常に責任が強く求められる。すなわち「弱者救済の理論」に基づいて発生した交通事故の過失割合が判断されているということです。

 その基本は『自動車>二輪車>自転車>歩行者』の順で過失の基本割合が異なり、「交通弱者」として保護されている自転車や歩行者との事故では、たとえ自転車や歩行者側に過失があった場合でも、自動車の方がより厳しく過失を問われることを念頭に指導する必要があります。

 このページでは「歩行者」「自転車」の飛び出しについての指導方法を説明します。

 



 

 ▼「飛び出し」のヒヤリハット実態


今回分析したトラック主体のヒヤリハット520件中「飛び出し」は65件と3番目に多い件数となっています。

 

相手方は、

 ➊「歩行者」❷「自転車」❸「自動車」の順で全体の88%を占めています。

 

原因別では、

 ➊相手 ❷双方 で全体の85% 

 

場所別では、

 ➊一般道38件

 ❷信号なし交差点・付近16件

 ❸信号有交差点・付近8件

の順で95%を占めています。


直前時行動別では、

 直進時が51件と最も多く全体の78%となっています。

 

 以降この直進時のヒヤリハットを中心に説明します。



 

 ▼「直進時」のヒヤリハット実態


 とび出しのヒヤリハットは直進時が約80%と大半を占め、その詳細は、

●相手別では、

❶ 歩行者16件(31%)

❷ 自転車15件(29%)

❸ 自動車13件(26%)

となっています。

 

●原因別全体では、

 ❶ 相手26件(51%)

 ❷ 双方19件(37%)

 ❸ 当方  3件(  6%)

注:原因別はヒヤリハット内容から支援チームが主観的に判断したものです。 

 


◆場所別・相手別

 ●場所別では、

 ❶ 一般道(直線)23件

 ❷ 信号無交差点15件

 ❸ 一般道(狭道)10件

 


 ●相手別では、

 ❶  歩行者➡ 一般道(直線)56%、 一般道(狭道)25%

 ❷ 自転車➡ 一般道(直線)40%、 一般道(狭道)33%

 ❸ 自動車➡ 一般道(直線)46%、 信号無交差点46%

 ❹ 二輪車➡ 信号無交差点100%

となります。

 

 では、相手別・・・歩行者、自転車を重点に指導方法を考えてみましょう。


とび出しに対する指導方法(歩行者・自転車)

 

 

歩行者の飛び出しに対する指導方法

(直進時)


 直進走行時、人の飛び出しや横断等でヒャットすることがあります。

 右の写真のようにお年寄りが道路を横断しています。

 ドライバーが気づいているから事故には至っていませんが、もし、左を見て右を見たとき老人が右ピラーの死角に入っていればどうでしょうか?

 


 ドライバーは、下の「歩行者のとび出しによるヒヤリハット状況」写真からもわかりますように道路環境に対応した運転が求められます。改善内容の()内は、内容を読んでの支援チームの主観的判断です。

歩行者のとび出しによる ヒヤリハット状況

ヒヤリハット体験による改善内容

① (狭道、大人)運転中、通行人が飛び出してきてぶつかりそうになった。歩行者は携帯電話を操作しながら歩行しており周囲が見えていなかった。

歩行者が通りすぎるのを見守る。

(事前に携帯電話している歩行者に気づいている。)

② (信号有交差点、大人)走行中歩行者用信号が赤だったにも関わらず、交差点3m程手前の木の陰から、人が横断しようと自車に接近してきた。

交差点の手前でも、いつ歩行者が出てくるかと予測して走行する。

(周りの環境を把握している。)

③ (一般道、大人) 反対車線が渋滞している中を走行中、車両の間から学生が左右の安全確認せずに飛び出して来た。急ブレーキを掛けて難を逃れた。時速30㎞以下であったから良かった。

片側が渋滞中、特に大型トラック付近は徐行必須。

(減速していたのが幸運)

④ (一般道、子供)片側1車線の道路を前車に続いて走行中、左側にタクシーが乗客を降ろし、親がタクシー料金を払っているときに反対側に祖母がいて手をあげたため、子供が親の静止を聞かず、タクシーの前部を横切り、前車が子供と衝突しそうになった。

人事でなく、車が停止している横を通過する時は、自転車とか人とか横切ると思い、絶対、徐行、停止を必ずして確認する。特に片側1車線の道路では注意する。

(前車との車間距離を広めにとって運転していたので他車のヒヤリハットを教訓にできた。)

⑤ (信号無交差点、子供)信号のない交差点を通過しようとした時小学生が、左右の確認もせずに手を挙げながら横断してきた。接触等の心配はなかったが、ヒヤリとした。

交差点付近は、歩行者や自転車がいつ横断してきても停まれる安全な速度で走行する。

(前方の環境を把握できているから対応できている。)

改善内容の()内は、内容を読んだ支援チームの主観的判断です。

 これらの状況に対応するためには、人の通行が多い駅周辺・繁華街、交差点付近や生活道路を走行する時は、ヒヤリハット「改善内容」のとおり

 ●あらかじめスピードを落として走行

 ●周囲の状況をは握しやすくするため前車との車間距離を広めにとって走行

するなど予測・確認がしやすい運転行動に努めることが必要です。

 特に生活道路では、子供や老人を見かけたら、行動が不規則・不安定である。こと、また

 右の写真のように、ドライバーから見て歩行者が同一進行方向で背面の場合は、当車を認めていない!ことを認識したうえで、

 ●まず減速し、いつでも止まれる状態で走行する。 

ことです。


▼歩行者の死亡事故は自動車直進中に多く発生していることに注目!

 交通事故分析センターのデータ分析では直進時の歩行者死者数が83%と最も高く、その対処方は、運転者が早期に危険を認知することが死亡事故を防ぐと警告しています。

(ITARDA INFORMATION  no94 から抜粋)

、「直進時」が歩行者死者数の83%大部分を占め、歩行者致死率は5%と最も高い。

●運転者の人的事故要因は漫然運転、脇見運転による発見の遅れが70%

〜運転者の早期危険認知が死亡事故を防ぐ〜

詳しく内容を知りたい方は下のボタンをクリックしてください。



 

▼ 直進時、人の飛び出しへの対応運転

  下記表は、支援チームが主観的考えに基づいて作成したものですので参考として見てください。

  あらゆる場面で予測は必要ですが、運転時、人の動きが多い多いと感じたら、まず減速等を行なって歩行者の動静確認に基づいたを予測運転をしてください。特に前車に続いて走行している場合は広めの車間距離をとり広めの視野確保に努めてください。

人のとび出し

への

対応運転

一般道路

生活道路

交差点

・同付近

横断歩道

駅前等

人の通行が

多い道路

駐車車両

多い道路

対向車線

渋滞

その他

道路環境・動静確認

に基づいた予測運転

減速
構え
広めの車間距離

 歩行者のとび出しに対する意識づけは、前記内容を座学等で指導教養したのち、実技講習を行ってください。

 ●あらかじめスピードを落として走行

 ●周囲の状況をは握しやすくするため前車との車間距離を広めにとって走行

と説明しましたが、「スピードを落とす意味」「広めの車間距離必要性」等を理解させるには「原点回帰講習」が効果的です。内容については下のボタンをクリックして内容を確認してください。



 

自転車のとび出しに対する指導方法

(直進時)


 車を運転するドライバー側から自転車を見ると

○一時停止や逆走などルールやマナーを無視した行動が目立つ。

○天候や路面の影響を受けやすいのに傘さし運転をする。

○運転操作を軽く見て自分本位な危険な運転をする。

○携帯やスマホを見ながら運転している。

など、

  自転車 = ルールとマナーを守らない = 危険と感じています。


 危険と感じるならば、ドライバー側がそれなりの対処をとらないと事故になります。

 自動車は交通強者として常に責任が強く求められる。すなわち「弱者救済の理論」に基づいて発生した交通事故の過失割合が判断されていることを念頭に、ヒヤリハットの内容・改善点、また、写真の内容から注意すべき点、対応を考えてみましょう。

 

 まず、ヒヤリハットの内容や写真を見て考えてみてください。

自転車のとび出しによる ヒヤリハット状況 ヒヤリハット体験による改善内容
①(一般道 大人) 運転中、歩道を走っていた自転車が急に道路に飛び出してきた為、接触しそうになった。

いつ何が飛び出してきても良いように、周囲の確認をよく行い、安全運転を心掛ける。

(道路環境を把握できている。)

②(一般道 大人)走行中、歩道を走っていた自転車が、後方の確認もせず急に車道へ進路変更してきて、慌ててハンドルを切った。

歩行者や自転車は突飛な行動をとるので、近くを走行する時は特に注意する。

(自転車の行動把握は出来ているが、減速等の対応が必要)

③(狭路 大人) 自動車で一方通行を走行中、車道左側を走行中の自転車が急に自車の前を横切った。

歩行者や自転車は、急にどんな動きをするかわからないので、近くを走行する時は、速度を落としていつでも止まれる様に走行する。

(狭路走行時は最初から速度を落として走行することが望ましい。)

④(一般道 お年寄り) 帰庫途中、道路の左側をお年寄りの乗る自転車がトラックと同じ進行方向で走行していたので、スピードを落し余裕もって通過しようとしたところ、自転車がフラフラっとトラック側に寄って来てぶつかりそうになった。

お年寄りの場合、ふらつきや飛び出しがあるかもしれないという気持ちで、最徐行またやり過ごす。

(前方にお年寄りの自転車を発見した場合は、側方余地が十分ないときは追い抜きをしない。)

参考・・・西日本JRバス 社内基準

~ 自転車、駐車車両側方通過時-1.5m以上空ける

⑤(狭路交差点 大人) 車両を運転中、前方に街灯のない脇道があり、いやな予感がしたので、ブレーキを踏み、徐行していたところ、無点灯自転車が横切ったのでブレーキを踏んだ。危うく大事故になるところであった。 無灯の脇道のある交差点では、十分周囲を確認し注意も払い、手前で徐行運転し、いつでも停止できる状態にしておく(予測・かもしれない運転が幸運につながっている。)
⑥(一般道 子供)市街地の車や歩行者が多い場所を走行中反対車線の車と車の間から自転車(小学生位)が飛び出してきました。

車や歩行者が多い場所では、自分一人が気をつけていても事故を起こす確率が高いので、いつも以上に周りに気をつけて走行する事だと思います。

(内容から減速していたことが事故に至らなかったと推測される。)

⑦(交差点 大人)車を運転していた時、脇道から自転車に乗ったおばちゃんが飛び出てきた。

もしかしたらって言う考えで運転します。

(タイミングのズレが幸運につながっている。)

改善内容の()内は、内容を読んだ支援チームの主観的判断です。

 前方に自転車を発見した場合、道路環境とその動静から予測運転をしなくてはなりません。

 

 

自転車利用者のヒヤリハットアンケート

 

 自転車利用者は、自転車利用時の事故やヒヤリハットについてどのように感じているのでしょうか?

 下にアンケート結果がありますので、指導また運転時の参考にしてください。

≫調査主体 :自転車の安全利用促進委員会

≫調査方法 :インターネットリサーチ調査

≫対象 :全国の週一回以上自転車を利用している主婦回答数 :1000名

≫調査日 :2013年12月25日(水)~12月27日(金)  

 

47%の人が、事故に遭った、また事故に遭いそうになっている。

 

原因の72%は自身である自転車利用者の責任と思っている。


◆原因については、

 自動車運転時にも言えることですが、

・飛び出しへの対応遅れ34.4%

・前方不注意・よそ見23.6%

・一時停止無視、確認不足16.7%

で全体の約75%を占めています。

 

 


 このアンケート内容から分るように、自転車側が

●人・車ののとび出しへの対応の遅れ➡ 減速等による予測やかもしれない運転をしていない。

●前方の不注意・よそ見➡ 安全運転を心がけていない。

●一時停止無視、確認不足➡ 交通ルールを守っていない。

などです。ドライバーは自転車を見たら「不安全行動をするかもしれない」ことを認識したうえで運転する必要があります。

 ヒヤリハットや事故に遭遇しないためには道路環境をよく把握し、特に人や自転車の通行が多い駅周辺、交差点付近や生活道路を走行する時は、

●あらかじめスピードを落として走行

●周囲の状況をは握しやすくするため前車との車間距離を広めにとって走行

するなどして予測・確認がしやすい環境づくり(運転)と自転車の動静に注意する必要があります。

 

ヒヤリハット改善内容(複数回答)未回答2件を除く
改善項目

 予測・

かもしれない運転

 安全確認 減速
件数 9 7 5

▼歩道通行・路側帯通行の自転車の飛び出し



▽歩道を通行している自転車の場合 

◆ 自転車の歩道から車道への飛び出しについては、道路環境をよく把握することが重要です。

ヒヤリハット内容でも、

▼運転中、歩道を走っていた自転車が急に道路に飛び出してきた為、接触しそうになった。

▼走行中、歩道を走っていた自転車が、後方の確認もせず急に車道へ進路変更してきて、慌ててハンドルを切った。

▼渋滞の中を走行中、左側歩道を走行していた自転車が、車道に出てきてこちら側に倒れそうになり、接触寸前でブレーキを踏み停止した。

▼交差点を通過中、自転車が歩道を走っていて、交差点でいきなし車道に出てきた。

となっており内容から道路環境はよく分りませんが、歩道を走る自転車を見れば

●歩道が狭い。 ●段差が多い。 ●歩道に駐車車両や出入りの車がある。

場合は車道に出で来る可能性が非常に高くなりますので、注意が必要です。

▽路側帯・車道を通行している自転車の場合

 

◆ 路側帯を走る自転車は特に注意が必要です。

 国道であっても歩道がない場所は多々あります。

 写真のように自転車は、

●電柱等の障害物や歩行者がいれば、車道側に進路を変えます。

 

 道路環境をよくは握うえで、減速、徐行や構え、また側方通過時自転車との間隔が狭い場合は追い抜きしない等の判断が必要です。

 


 自転車のとび出しに対する意識づけは、歩行者と同じく前記内容を座学等で指導教養したのち、実技講習を行なうと効果的です。

 ●対面していない場合は、自車を認めていないことを意識し、道路環境と行動を見落とさない。 

 ●あらかじめスピードを落として走行

 ●周囲の状況をは握しやすくするため前車との車間距離を広めにとって走行

と説明しましたが、「スピードを落とす意味」「広めの車間距離必要性」等を理解させるには「原点回帰講習」が効果的です。内容については下のボタンをクリックして内容を確認してください。