構内事故を考える 4
~ハンドル操作と衝突部位から構内事故を考える~
他構内・前路上とSA・PAでの事故
最後に、A社の他構内での事故とサービスエリア(SA)・パーキングエリア(PA)の事故内容を見てみましょう。
また顧客先、拠点構内事故等と比較してみるとどうでしょうか?
他構内事故全体で、5件発生し、SA・PAでは4件と両方とも少ない発生となっています。
▌他構内・前路上事故は、前進時が4件、バック時1件
▌SA・PAでの事故は、利用の関係上すべて大型車で、バック事故3件、駐停車時の措置1件の
4件発生しています。
内容的には、下記表の通りです。
では、どのような前進時とバック事故等が発生しているのか見てみましょう。
▌事故場所別・事故形態別発生状況
▌他構内・前路上では、前進時が4件、バック時1件の5件で、衝突の相手は、車が2件、壁・塀
が2件、高所障害物1件となっています。
▌SA・PAでは、バック時が3件、操作なし(駐車時措置)1件となっており、すべてが車への衝突で
す。
・修理工場から公道に左折しようとした時、車両右後方上部がオーバーハングに
より軒先に接触し、車両と構内建屋の屋根を破損させた。
(左方前進、認知ミス、尻振り、高所障害物)
・配達途上、コンビニに立ち寄り当該駐車場より退場しようと車両の間を通り
抜けた際、当方車両荷台左部分と先方車両のアンダーミラーが接触
(直進時、判断ミス、左側端感覚、車)
・配達途上に於いて道を間違え一度駐車場に入り右折にて一般道に戻る際に送り
状の番地確認を行いながら右折していたところ右側に駐車してある乗用車と
接触(右方前進、脇見、巻込み、車)
・マンションの駐車場内にてUターンをする際、5回の切り替えしを行い車道に
出ようとした際、車両右側のアンダーステップがブロック塀に接触した
(左方前進時、巻込み、認知ミス、ブロック塀)
・町の公民館内で方向転換をする為、後退した所、公民館玄関の塀と自社車両
の助手席側を接触させた
(左方後退時、巻込み、認知ミス、塀)
(右方バック時)
・SAにて駐車時、空きスペースが出来た為駐車しようと後退した際に、他車も
後方から来たためやや右に寄せた上後退したところ、後方車両の発見が遅れ
後突した。(右方バック、認知ミス、車)
・休憩のため〇〇高速道路パーキングに入場、パーキング内で後退時、駐車ス
ペースに駐車していた4トン車の右ミラーに後突
(右方バック、認知ミス、車)
・PAにて休憩のため、駐車場に入れる際右バックで後退時左ボディーで駐車中の
大型タンクローリーの右フロントミラーへ接触した。
(右方バック、認知ミス、車)
(停車時)
・パーキングエリアで駐車し、後方の荷物を探していたところ、サイドブレーキ
がきっちりかかっておらず、そのまま車輌が後退し、後方に駐車していたタン
クローリーのキャビン左前面に接触した。
(停車時の措置(サイドブレーキ)、判断ミス、車)
▌3件のバック事故は右方バックです。
高速道路サービスエリア内で駐車区画にバックで駐車しようとしていた車両の右後部と、その右側を直進していた車両の左後部が衝突した事故
過失割合はA車(後退進行車)が8割、B車(前進車)が2割
―裁判所の判断―
⑴ 事故の主たる原因はA車(後退進行車)の過失(後方安全確認不十分)
本件事故は、主として、AがA車を後退進行させるにあたって、後方の安全を確認して後退進行させるべき注意義務があるのにこれを怠って、後方の安全確認不十分なまま後退進行させた過失によって発生したといえる。
⑵ B車(前進車)にも過失有
(A車の動静及び安全を確認して通過させる注意義務)
Bにも、B車を運転してA車の側方を通過させるに当たって、A車の動静及
び安全を確認して通過させるべき注意義務があるのにこれを怠り、A車の
動静及び安全の確認不十分なまま通過させた過失がある。
上記判例にあるように「後方の安全を確認して後退進行させるべき注意義務があるのに」これを怠って、後方の安全確認不十分なまま後退進行させた過失によって発生したといえる。
ことから、下記「バック駐車の基本ポイント①~④の意識行動と理由」を意識して行動すればバック事故は減少するでしょう。
構内事故内容を見てどう感じましたか?
ほとんどの事故が、認知ミス・判断ミス等で発生しています。
実技講習場面でもそうですが、「大半が、行動が先で安全確認等が後」になっています。
危険物を見ても”見たつもり" になって"危険と感じていない。”また失念などの状態が見受けられま
す。
構内事故を減少させるためには、ドライバーに
① 人間というものを知る
・車は、急に止められない! ・安全確認は、停止しての安全確認が一番!
② 自身が運転する車を知る
・車両寸法(車長、車幅、車高)を知ることで物を見る判断(通行できるかの有無)が身につく!
・車両特性(トラックのリアーオバーハングのはみ出し距離、左右後輪タイヤの巻込み距離、
前部左右角のはみ出し距離、死角距離、高所障害物の視認範囲、
バックモニターの視認範囲)
を指導する必要があります。
そのためには、ドライバの【認識度】と【意識度】調査をすると良いでしょう。
知って当たり前と思っているかも知れませんが、結果を見てから判断してください。
下記調査は、
❶ 安全確認とは? ❷ 自車の寸法(車長、車幅、車高) ❸ リアーオバーハングに関する質問
❹ バック駐車行動とその理由
の4項目です。
結果が良ければ問題はありません。
それは、管理者のあなたが指導結果の賜と思います。
出来ていなければ、下記ボタン等の内容を参考に指導してください。
社員の意識度、認識度を把握する。
・安全確認とは?
・業務運転車両の車長、車幅、車高
・オバーハングについて
・バック事故を防止するための
バック時4つのポイント
(行動と理由・根拠)
の4問と解説~右のPDFをダウロードして実施してみてください。