香里自動車教習所 安全運転管理支援チーム


 

 バック事故防止講習の必要性Ⅱ

( 安全確認の第一歩は停まる。 )


 

 

 バック事故防止講習の必要性でも説明しましたように、バック事故を防ぐには「安全確認」が大きな要素を占めています。

 

 では「安全確認」とは? どのような行動をいうのでしょうか?

 一度、社員の方に質問してみてください。

 


「安全確認」とは

 車を運転し進行させるためには、安全に進行させる(交通事故を起こさない。)ことが出来るという根拠が必要で、その根拠が「安全確認ということになります。

 すなわち、車の発進・進行・後退、交差点へ進入、進路の変更するなど車を運転する際には常に周りの安全を確認することが求められます。 

道路交通法(安全運転の義務)

第70条 車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならない。 

【道路交通法第36条】

4.車両等は、交差点に入ろうとし、及び交差点内を通行するときは、当該交差点の状況に応じ、交差道路を通行する車両等、反対方向から進行してきて右折する車両等及び当該交差点又はその直近で道路を横断する歩行者に特に注意し、かつ、できる限り安全な速度と方法で進行しなければならない。 

と規定されています。

 

 では、下記のバック事故報告書の内容を読んで安全確認の何が足らないと感じますか?

バック事故発生報告書10例

● 駐車場にてバック中に後方確認不足により後ろに停車中のトラックに衝突した。

● 駐車スペースにブロックがあり後方確認の為、ドアを開け確認しながらバックしたら、ドアの下にもブロックがあり扉を擦った。

● 駐車スペースにバック駐車する際に後方確認を怠り、敷地内の木に接触した。

● トラックヤードで積載する際、車をバックしたらバックバンパーに当たる衝撃が強かった為バンパーが外れた。

● 顧客駐車場にバックで駐車中、後方の木の枝に衝突しライトが破損した。

● バック駐車する際、周りに他の車両が無かったためスピードを減速せずにバックしたところ植え込みの木に激突

● 後退時、向かい合って駐車していた後方車両を見落とし後退したため衝突してしまった。

● 得意先駐車場にてバックで駐車中に後方のポールを見落とし衝突した。

● 携帯が鳴ったため横に寄せ停めようとしてハンドルを切りながらバックしたところ駐車場の支柱に衝突した。

● バックで駐車する際、左後方にあった原付に接触し、原付が横転してミラーが破損、当車も左後部のライトを破損しました。

 内容を見ると確実な安全確認ができていない。障害物等を見る機会があったのに見ようとしていないのです。

注: 「交通事故分析ツール」また「バック事故分析&指導ツール」をお使いの方は、「事故形態別概要」でバック事故を選択しますと発生状況が抽出されますので、内容を見てください。見る意識のない事がよくわかると思います。これが指導ポイントです。

 

日頃の何気ない駐車時の運転行動

 日頃のバック駐車の運転行動は、ドライバーの安全意識度を表しているように感じませんか?

 

 右の動画は、駐車場で駐車する運転行動をDRで撮影したものです。

・・・殆どの車が、動きながら駐車スペースを確認しています。


 ではどのようにして指導するか?

 管理者として社員が安全確認しているか否かを確認するのは難しいと考えておられるかもしれませんが、安全確認を把握する機会は、会社からの出発時や帰社時の運転行動を見れば大凡の判断がつきます。

 特に、帰社時の車庫入れ時の運転行動を見てください。 

 安全確認の第一歩は、停(止)まる。行動を見ることです。

 更に一歩進めるのならば「二段階停止」しているか?も加味して確認すれば「二段階停止」の意識付けにもなります。


 

 このような個々の意識付けで効果のない場合は、基本である原点に戻った指導~「自分自身を知る。」「車を知る。」原点回帰講習を実施してみてください。安全確認の意味が理解できます。

 「分っている。知っているが、理解していない。」「理解していないから行動できない。」のです。



 

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█ 衝突部位を見れば原因と指導方法がわかる。

 衝突部位から見た分析と指導方法で貨物車用と乗用車用の二種類があります。

なお「バック事故分析&指導ツール」は無償公開しておりますのでバック事故でお悩みでしたら使ってください。



▼ ワンパターン化された運転行動が事故を招く

 

    習慣化されたワンパターンの駐車行動がいずれバック事故につながるのです。

 バック駐車行動が右動画のようなワンパターン化されてた人がほとんどで、前進からバック行動に移るまでは停止による安全確認はありません。

 右の動画は、バック事故防止講習時に実施してもらった日頃の駐車行動を撮影したものです。


下の写真の状況であればどうでしょうか?

 よほどの人でないかぎりBの駐車スペースには障害物がありますのでAのスペースに駐車します。

 これは、目視による安全確認がしやすい状況にあるから出来ることで、また、日頃何十回と駐車する際もほとんどがこのような状況にあるため"大丈夫”という過信が「停まっての安全確認」を省略してしまう要因にもなっているのです。

▼ 一連行動の中に「停まる。確認する。」行動を!

 

 一連行動の中に「停まる。確認する。」行動を加えた指導をしてください。

 

 どのような状況下でも「停まる。確認する。」運転行動の指導が必要で、今まで身についた“おなざりの安全確認”を"確実な安全確認”に導くには継続指導しかありません。

 その第一歩が「停まる。」ということになり、この行動が出来れば交差点等での安全確認行動にもつながります。

 

▼ なぜ? 駐車スペース枠が表示してあるのに意識して駐車しないのでしょうか……

 意識する人は、枠ラインやラインの角を意識して駐車します。

 意識しない人は、止めることだけしか考えず行動します。

 この意識しない行動が、いずれバック事故につながるのです。

 下の写真はパーキングエリアで撮影したものです。管理者・指導者の方は意識して駐車行動等を観察してみてください。行動観察が指導の第一歩であり指導ポイントも見えてきます。

再掲 ▼バック事故発生報告書10例 もう一度発生内容を見てください。

● 駐車場にてバック中に後方確認不足により後ろに停車中のトラックに衝突した。

● 駐車スペースにブロックがあり後方確認の為、ドアを開け確認しながらバックしたら、ドアの下にもブロックがあり扉を擦った。

● 駐車スペースにバック駐車する際に後方確認を怠り、敷地内の木に接触した。

● トラックヤードで積載する際、車をバックしたらバックバンパーに当たる衝撃が強かった為バンパーが外れた。

● 顧客駐車場にバックで駐車中、後方の木の枝に衝突しライトが破損した。

● バック駐車する際、周りに他の車両が無かったためスピードを減速せずにバックしたところ植え込みの木に激突

● 後退時、向かい合って駐車していた後方車両を見落とし後退したため衝突してしまった。

● 得意先駐車場にてバックで駐車中に後方のポールを見落とし衝突した。

● 携帯が鳴ったため横に寄せ停めようとしてハンドルを切りながらバックしたところ駐車場の支柱に衝突した。

● バックで駐車する際、左後方にあった原付に接触し、原付が横転してミラーが破損、当車も左後部のライトを破損しました。

 もし、停止して駐車スペースや左右等の状況を確認しておれば防げたのではないでしょうか?

※※ 確実な安全確認の第一歩は停まる。 ※※ ことから始まります。

 ▼下のバック事故データからも明らかです。

図は、「バック事故実技講習ノート」の説明資料データ


自動駐車システムも停車して駐車スペースを認識


 右の動画は、ネッツトヨタ新大阪㈱ 寝屋川店の協力のもとに作成したバック事故防止動画です。

~バック駐車編

 解説付きで説明しておりますので、社員指導の参考動画として活用してください。


 右の動画は、平成28年9月22日大阪香里自動車教習所主催の 第24回ワンデースクール で協賛で参加された大阪トヨタによるパーキングアシストでの縦列駐車の映像です。

 

 この動画で注目していただきたいのは、自動であっても「停止して駐車スペースを確認させる。」必要があるということです。

 ということは、人間が駐車する場合も停まって駐車スペースの確認が必要で、 停まる。確認する。 がバック駐車のキーポイントということになります。

下記参考動画は自動でのバック駐車


▼ 継続した「見る指導」が事故抑止につながる

 

 冒頭にもお話ししましたが、会社からの出発時や帰社時の運転行動を見て指導してください。継続して「見る。指導」をすることで、確実な安全確認の第一歩「停まる。」という意識付けが出来ます。

 

 毎日見る必要はありません。

 週に一回程度、あなたのデスクから、停止しているか否か?


 停止していなければ、バック駐車の基本「停まる。確認する。やり直す。」をワンフレーズ指導してください。

 見られているという意識の継続が「停まる。確認する。」意識付けにつながります。

 「安全確認!」のフレーズを「停まる。確認する。」のフレーズに変えてください。

 更に一歩進めるのならば「二段階停止しているか?」も加味すれば「二段階停止」の意識付けにもなります。


▼ 継続した「見る指導」が事故抑止につながるⅡ

 ドライブレコダー装着車の場合

 

 下の動画及び画像説明は、駐車時、確実な安全確認等を欠いた運転行動例で、講習車に搭載してありますドライブレコーダ(TBR-200 特徴~速度以外に、バック、ブレーキ、指示器の動作が確認できる。で録画し抜粋したものです。 自社車両で収集されたドライブレコーダ動画による指導の参考にしてください。

 

 一連の駐車時の運転行動を見て、どこが指導点かお考えください。

 また、KYT動画としてお使いください。


▼ポイント 「駐車にかかる時間」➡ 30秒を省略しない。

 動画を見てみますと、駐車スペース確認から停止するまでの時間は、約30秒です。 

 ➡ 確実な安全確認を行っての時間は、60秒~70秒必要です。(切り返し行動を含む。)

 

▲画像説明

 指導すべき点

 時速6Km/hで駐車スペースを確認している。

 時速6Km/hの秒速は1.7mであることを考えると確実な安全確認はできません。

※ 停止しての安全確認を指導してください。

▲画像説明

 指導すべき点

 後退時、安全確認より先にバックしている。

 良い点

 ブレーキが点灯しているので、構えの状態でバックしている。

 注: ブレーキ操作には、「踏み替え」と「構え」があります。 「構え」とはブレーキに足をかけた状態をいいます。

▲画像説明

 指導すべき点

 運転に自信があると見受けられますが、一回の行動で駐車しようとしています。

 バックの基本は、「真っ直ぐバック」です。真っ直ぐバックするためには切り返しが必要

    もう少し後退した状態から切り返して前進し「真っ直ぐバック」するよう指導してください。

 一回で入れようとすれば無理がでます。

    時速2Km/hの秒速は56cm➡ 反応時間0.75秒の人➡ 時速2Km/hでは停止距離44cmとなります。

     ~ 少しの判断誤りや遅れが隣接駐車車両への接触・衝突に繋がります。 ~

 また、駐車スペース中心を真っ直ぐバックすれば、左右の安全確認が省略でき後ろの安全確認に集中できます。

 良い点

 ブレーキが点灯しているので、構えの状態でバックしている。

▲画像説明

 指導すべき点

 車止めに当てて停める癖は避ける。 

車止めにドンと当てて停める癖がつけば、①を省略した場合や車止めがあると過信した場合の事故要因となります。

事故事例

  「バックで駐車する際、後側に電柱があるのは確認していたが、車止めを過信してしまい、車止めに当たるように駐車しようとしたところ電柱に衝突してしまいました。」

 

 ◆車止めがあっても二段階停止

 ・一回目は車止め手前1mで停止確認  ・二回目は、ゆっくり1mバックし停止

 良い点

 ブレーキが点灯しているので、構えの状態でバックしている。

 

※ 「見る指導」と「継続して行う」ことが交通事故抑止のポイントです。

 

◆ バックモニターがあっても二段停止

  詳しい説明は、≫ バックカメラ(モニター)付車両の指導方法をご覧ください。




バック事故講習ノート等に関するお問合せは、

   大阪香里自動車教習所 安全運転管理支援チーム

   電話 072-831-0668 大阪府寝屋川市木屋町13-5

   まで、ご連絡ください。