施設からの出入り時の指導方法


 

 

施設からの出入り時の指導方法

 

 業務中、施設等からの出入り時の交通事故は全体の約7%と多くはないのですが、施設からの出の行為は、信号のない交差点の通行方法と同一形態ですので、出会い頭事故防止と合わせて指導すると効果があります。

 上の動画は、トラックが施設から出てきます。

この内容を見て、指導ポイントを検討してみてください。

 



「ハンドル操作別 事故分析ツール」Excel版を2021.12公開しましたので参考にしてください。(車種別イラストを入れ替えることで、トラック(基本はトラック画像)、乗用車にも対応しています。)


ハンドル操作と衝突部位から指導点を探る。



業務中の施設から出入り事故の現状

下記のグラフは、5社の業務中事故 690件中、施設出入り時の事故48件を分析したものです。

 

■ 特 徴

 ≫ 出入り事故の48件のうち施設からの出が63%を占めています。

 ≫ 事故の相手方は、工作物(電柱、ポール、壁等)が50%以上

 

≫ 出入りとも、前進時が70%以上占めている。

≫ 出入りとも左折時が40%以上占めている。

 

≫ 出入りの事故の相手方は、工作物が60%占めている。


≫ 出入りとも、前進時が70%以上占めている。

≫ 出入りとも左折時が40%以上占めている。

≫ 出入りの事故の相手方は、工作物が60%占めている。

 

▼施設からのの交通事故状況

 データ分析は、当教習所が無償提供しております「交通事故分析ツール」を使って分析したものです。

▼施設への入りの交通事故状況

上記のデータから見えてくること

 全般的には、「停まる」「確認する」「無理をしない」ことが考えられ、これは「バック事故」や「見通しの悪い交差点事故」防止に通じるものです。

 

≫ポイント1

 二段階停止カーブミラーの死角、逆転現象を理解しておれば防げる事故も多くなります。

 ~ 「二段階停止」「カーブミラーの死角、逆転現象」の項を参照してください。

 

≫ポイント2

 自身が運転する車の車両感覚内輪差・外輪差を理解しておれば防げる事故も多くなります。

 ~ 細街路での通行、右左折時の工作物(電柱・壁・家屋等)の衝突も減少します。

 


▼施設への出入り時に工作物等に衝突する物損事故の要因

  通行する車や自転車、歩行者の安全確認を第一に考えて施設外に出ようとするのですが、

≫進入できる待ち時間が長くなった場合の「焦り

≫通行車両が譲ってくれた場合の「慌て

等で左右の障害物を忘れて事故になっているケースが大半を占めています。



 

施設からの出入り事故が発生した場合の過失割合

~指導者は、施設出入り事故の過失割合も参考にして指導してください。

交通事故 基本過失割合から見た施設出入り事故

右の図

(施設出)A車80%    C車20%(前方注意義務)

(施設入)B車90%    C車10%(前方注意義務)

交通事故の過失割合の考え方

①A車、B車 

   他の車両等の正常な交通を妨害するおそれがあるときは、道路外に出入するための右左折はしてはいけないと定められています。(道路交通法25条の2)

②C車 

 直進車においても、道路外から右左折を行って道路に進入する車両があることをその合図や速度の変化等により認識することが可能であるため、前方注視義務が課せられています。

※ 自転車Dとの場合は、

 (施設出)A車90%    D自転車10%

となります。

交通事故の過失割合も含めて指導すれば説明がリアルになります。



▼施設から国道に出ようとした場合の指導方法

 ~ 自社の施設を利用しての利用方法 ~

 基本は、見通しの悪い交差点での通行方法の「二段階停止」「カーブミラー」の応用編と考えて指導してください。

 

▼参考KYT動画

  下の動画は、大型貨物が左右の施設から道路に出ようとしています。

  両車を見比べて検討してみてください。

●検討ポイント

~ 動きながらの安全確認と停止しての安全確認 ~

≫左側車両~ ドライバー自身の目で確認しようと道路直近で停止せず、道路に1m進入し停止

≫右側車両~ 道路直近で停止し、道路を通行する車両等に見せる行動と安全確認をしたのち右折しています。

 


指導概要

▼写真の施設から左折して国道に出ようとしています。

 

この場合、図②のようにB地点での状態を歩道上で自転車・歩行者の立場から見た場合どのように見えるか検証してください。


▼類似KYT動画

 施設からの出も細街路交差点の通行方法と同じです。

 車が急に出てきた場合、歩行者側にはどのように見えるか?下記動画を参考として見てください。

 右側の動画は、見せる停止をした二段階停止をした車両の動画です。


図① の指導方法

(二段階停止とカーブミラーの項を参照)

歩道に出る手前1m位Ⓐでまず停止

カーブミラーで右側の安全確認

図② 指導方法

交差点直前Ⓑで停止(見せる、見る

歩道を通行中の自転車や歩行者、右からの来る車両に自車を見せるのと自身も左右の安全を確認


 

■ドライバーの目から車の先端までは、2mの距離があることを意識させてください。

  一時停止場所の指導方法でも説明しましたようにボンネット車の場合、ドライバーの目から車の最先端まで2m前後の距離があることを体験で意識させてください。


 

■譲ってもらった。ことが焦りに繋がり障害物を見落とす。

左折の出は、工作物の衝突が56%を占めている。

施設からの出入りは、

慌てず。 停まる。 確認する。

Ⓑ地点で、左折時に工作物等がないかの安全確認

慌てず安全を確認しながら左折する。


 

▼施設から出る際の内輪差についての指導方法

 内輪差の指導方法(狭路交差点での左折、施設からの左折出、車庫からの左折出に対応)

の項目をご覧ください。